南 郁夫の野球観察日記(185-1)オリックス連勝で神戸終幕

2024年9月5日 (文/南 郁夫、写真/Yasutomo)

酷暑もプロ野球もようやく最終コーナー。そして今年のオリックス神戸開催も「これが最後」の9月3日(火)、9月4日(水)西武ライオンズ戦に参戦してきた。日中はまだちゃんと夏だが、試合が始まる頃には日が翳り、球場に吹き込む風にはほんのわずかに秋の香り。まあ理想的なナイター環境の中、存分にのんびり野球を楽しめた二日間。

神戸開催の最終戦はちょびっと感傷的に観察する私だが、それは私にとってはそこで現地観察が終わるから、だった。でもここ3年は優勝争いやポストシーズンちう「おまけ」がついてきてその辺の感覚が変わってきてはいたのだが… 今年は堂々の5位!うーん、懐かしい。しかも相手は歴史的不振で異次元の最下位・西武。試合を眺める肩の力が「抜けるだけ抜ける」大好物な状況なのである。

それでもほぼ満員のお客さんで賑わっていたこの二日間、球場に足を運ぶみなさんは、野球をよくわかっていらっしゃる。個人事業主である選手たちにとって「消化試合」なんてないし、我々ファンはプレイや球場を楽しみたいだけ。優勝至上主義は「建前」ってのが真に理解できる人だけが、野球も人生も楽しめるのである。どちらも単なるゲームなんだから(え?)。そういや球場前のフラッグポールの先っぽって「ネッピーが持ってた棒」の先っぽやん!今気づいた!こんな発見だけでも嬉しいのだ。

いろいろな名シーンがあった。まずは3日の試合。特になんと0勝10敗という誰も到達できない域に達した高橋光成のピッチングに私はひれ伏した。投球所作に風格と色気があるのだ。説得力、というか。打たれてもカッコいい、それが一流投手の条件である。必死こいて吠えまくって当座しのぎました!ちう「そこいら」の投手とは明らかに違う。0勝10敗だろうが、彼の値打ちは微塵も失われていなかった。堂々と0勝10敗できる投手なんて、もう現れないだろう。あ、0勝11敗になってもうた。

そして。「初めて見た」西川龍馬の本来?のバッティングもすごかった。特に3日のホームランはめちゃカッコよくて、この球場で見てるからか、弾道がまんまイチローだった。それにしても最終盤の9月に入っての突然の覚醒。「あ、たったいま、パ・リーグに慣れましたわ」で激変したというのか?遅いよ。
3日のヒーローはその西川と、泥臭いタイムリーを放った紅林。ブルペン陣も踏ん張り、吉田輝星は4勝目。

西武はオリッを上回る14安打を放ちながら、なんと14残塁。まあチームが勝てないときて、そんなもん。オリッの暗黒時代に私は「残塁マウンテン」という造語を作ったから、共感できるのである。それでも右へ左へ動きながら(ご自分のお席にお座りください 笑)一生懸命応援している西武応援団、ストレス疲れ出ませんように。気楽にいきましょう。

4日の収穫は、シュンペータのピッチング。課題の立ち上がり「ふらふら」をうまく切り抜けた後は、長い手足をゆったり使って、本来の優雅なパフォーマンスが戻ってきた。投球フォームがしなやかで美しい。若月のリードもよかったのだろう、カーブやチェンジアップを使う余裕も生まれて危なげがなかった。前回の真夏の神戸で「セットアッパー失敗」の瞬間を見ただけに、シーズン中の復活は嬉しい。どう見ても彼はローテ投手。今年のつまづきは来年の糧になるだろう。もうちっと「凄み」がほしいけど。

打線の方はラオウの活躍などでこの日は大量「4点」も入り(笑)、神戸最後の試合を盛り上げてくれた。吉田輝星などブルペン陣のふんばりは相変わらずで、まだCS進出の望みが寸分あるのは彼らの功績以外何ものでもない。
で。ペルドモはなぜに中嶋監督のことがそんなに好きなのか? 調べろや、ちう話。はい調べました。中嶋監督がパドレスでコーチ留学中に知り合ったらしい。

この日も西武は眼を覆うよな拙攻で、点が入らず。最後に神戸の英雄・栗山が代打に出たときは西武応援団のみならず場内全体が盛り上がったが、残念ながらセンターフライ。ホームランでもよかったのに。

ちなみにこの応援団の写真を専属カメラマンがSNSにアップしたところ、パネル作成者よりお礼のメッセージが来たとか。ええ話や。確かにこの晴れ姿は自分らでは撮影できんし。
西武にも可能性を感じる選手はたくさんいるし、まあ何がどうなるかわからんのが野球なので、この一年だけの成績で腐らずに頑張ってほしい。もちろん頑張るだろうが。ちなみに西武てオリッには11勝12敗とほぼ互角。そこやん!オリッ。

神戸最終戦ということで、試合後はオリッ選手たちがご挨拶。今年は雨天中止もなく8試合たっぷり楽しませていただきました。来年も神戸で試合が見れれば、それで満足な私である。
クラファンのお金で、来年は昭和の異臭漂うトイレが改修されてることを祈るばかりだ。それ以上は望まないんで。

さて。次ページはもちろん、専属カメラマンの練習&試合写真集。今年も球団のご好意、ありがとうございました。最後に特ダネ画像あり!

 

 

南 郁夫 (野球観察者・ライター)
通りがかりの草野球から他人がやってるパワプロ画面まで。野球なら何でもじっと見てしまう、ベースボール遊民。あくまで現場観戦主義。心の住所は「がらがらのグリーンスタジアム神戸の二階席」ブログ「三者凡退日記」
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