南 郁夫の野球観察日記(167)2024年オリックス、期待は大ベテランの2人

2024年1月12日 (文/南 郁夫、写真/Yasutomo)

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さて。絶対的エースの流出で潤う… じゃなかった、戦力アップが求められる2024年オリックス・バファローズ。でも多くのファンの皆さんはこう思っているのではなかろうか?
「今年もなんとかなるやろ、知らんけど」
これもV3の心の余裕なのか、いまんとこ根拠もなくあまり危機感はないのだ。

「V4と日本一奪還を目指すっ!」が表向き建前のオリッなのだが、それにしては発表された公式キャッチフレーズが、「おりふぉーWW」(失笑)。なんとも脱力で秀逸!
そう。勢い込んで「絶対優勝」「王座死守」とか言わんところがオリッらしいし、ファンもそこまで熱くないのが(個人の感想です)オリッのええとこ。どこぞの自称「常勝軍団」チームとは違う。

現実を見れば「ほぼ彼の力でV3したやん」ちう山本由伸ほどの投手の穴を埋めるのは簡単なことでないのは明白で、勇ましいキャッチフレーズなんかでどうにもなるものでもない。長くチームを見てきたファンにしてみれば、そこをどうカバーするのかを、のんびり楽しみたいだけなのである。

そこで。私的2024オリッ・キャッチフレーズは!
「CSに滑り込めればくらいの感じで~」
… ちゅっどーん。

というわけで、今年もいろんな若い力や新戦力を試しながら「目まぐるしく」選手を入れ替えるしかない、中嶋ジック・オリックス。それはそれで興味深いが、そんな状況でファンにとっては存在を示してほしいのは、やはり馴染みのベテランたちではなかろうか。私が今年期待したいのは、奇しくも専属カメラマンが「お宝」として所有していた、今から14年前の2010年シーズンの「BsTIME(ビーズ・タイム)」(球場で配布されていた冊子)の表紙を飾っていた、同期入団のこの2人なのである。

 

 

▪️Tー岡田(2005年高卒ドラフト1巡目)

2010年は奇しくもホームラン王を獲った出世年。しかしその後は… 。しつこいようだが、私が常々「まだ全盛期が来ていない」と言い続けている、Tー岡田。さびしいシーズンとなった昨年も代打で登場した際のファンの熱狂は格別で、引退するには本人もファンも「消化不良」の休火山。ゴジラ-0.1。そんな生え抜きもついに今年で19年目。びっくりするほど下がってしまった年俸にめげず、年初から練習に励んでいると聞く。

まだまだやれるはず(と言いつづけてうん年?)。今年は2年ぶりのホームランはもちろん、タイトル再奪取の勢いであの球場の空気を変える芸術的アーチを量産してほしい。小細工が苦手で攻撃力アップが必須の今年のチームに必要なのは、手っ取り早くホームラン!なんである。

 

▪️平野佳寿(2005年ドラフト希望枠)

2010年は、岡田ARE監督の進言で先発からブルペンに転向した、記念すべき年。それから13年、日米球界での実績も昨年の活躍もすでに「レジェンド」の域に達している平野も、今年でとうとう40歳。何シーズン目に入ったのか数えきれない「平野劇場」を楽しむために、今年も我々はパ・リーグ中継サブスクに加入するのである。

新人選手のお父さんと言ってもおかしくない年齢の平野を、週べの連載で宮城くんは実際に「チームのお父さん」と呼んでいる。ちなみに、お母さんは比嘉(笑)。次々と新戦力が台頭する若い投手陣の支柱として、まだまだ平野佳寿の存在がチームには必要である。もう目指す数字すら存在しない域に達した彼だが、今年は2014年以来のセーブ王タイトルを獲ってほしい。

ところで。「BsTIME」みたいな冊子は、BW時代にも球場で配布されてたような気がするが、最近は見かけない。内容はといえばピックアップ選手の記事のほかは試合・イベント情報や選手名鑑が主だし、最近では動画配信もあるし、ネット情報で十分という判断か? 紙媒体好きの「地球に厳しい」私としてはまた復活してほしいところだが。

で。ピックアップ選手には「100の質問」として同じ質問をするコーナーがあり、「好きな食べ物は?」とか「好きな女性のタイプは?」とか、まあその選手のファンには興味深いのだろうがしょうもない質問が続き、もちろん野球選手はウケ狙いで回答するわけではないので、実はまるで面白くない。が、一つだけ個人的にウケた質問と回答があったので、それを紹介してこの年始コラムを締めよう。

Q:メジャーリーグへの憧れは?
A:Tー岡田「ちょっとあります」
A:平野佳寿「ないです」

 

南 郁夫 (野球観察者・ライター)
通りがかりの草野球から他人がやってるパワプロ画面まで。野球なら何でもじっと見てしまう、ベースボール遊民。あくまで現場観戦主義。心の住所は「がらがらのグリーンスタジアム神戸の二階席」ブログ「三者凡退日記」
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