スポーツイラストレーターT.ANDOHの「OUTSIDER’s ReCALL」(71)学生スポーツの意義って… 甲子園ボウルへ行こう!<3>
2023年12月1日 (イラスト・文/T.ANDOH、写真/Azusa Suzuki)
こんにちは!スポーツイラストレーターのT.ANDOHです。
11月26日の関関戦にて史上稀なる「3校同率首位」でシーズンを終えた関西アメフトリーグ。
抽選の末、K!SPOで応援している関西学院大学ファイターズが、甲子園ボウルへの出場権をかけて今週末12月3日に西日本大会に臨みます。
そんな激戦と悲喜こもごもを応援する立場からも追いかけて、一人でも多くの方に「甲子園ボウル」を注目してもらおう!
と書いていた矢先に、学生アメフト界に悲しい知らせが飛び込んできました。
「日本大学アメフト部廃部へ」
伝統ある関東の名門、日本大学フェニックスが、一連の不祥事を理由に「廃部」となることが決まったのです。
日本大学はご周知の通り、2018年の関学ファイターズとの交流戦で「悪質タックル」と呼ばれる不当プレーを起こし、その不当に対してチームや学校の体質が問題視され、学長はじめトップが交代する事態となりました。
体質改善を誓い5年という年月を経て、今シーズン春、5年ぶりに交流戦が復活をしたのですが、その後も選手の不祥事が発覚。
学校の隠蔽行為も明るみとなり再度問題が浮上した末の出来事でした。
この春の交流戦を目撃できて、とても感動しました。
いちアメフトファンとして、憧れの関学ファイターズをK!SPOを通じて応援できる機会を得られたなかで、東西名門校のこの「氷解」は、アメフト界に明るい兆しとなったと心から喜んでいたので、その後のニュースには本当に心から残念な思いでした。
「歴史を共に築いてきた日大フェニックスがなくなるということに、残念という言葉で表せないほどの衝撃を受けている」
関学ファイターズの小野宏ディレクターもコメントを寄せています。
学生の“若さゆえ”の迷いや過ちも分かるんです。
いけないことは、もちろんいけないことなんだけど、そのまま80年以上も続く伝統のチームが幕を閉じることは、果たして学校としては然るべき対処だったのか。
そもそもの隠蔽行為なども踏まえた学校の体質に対しての責任をチームの廃部で収めるという結果にも憤りを感じています。
「そもそも学生スポーツってなんなのか」
学生がそのスポーツに熱心に向き合うことで学生の人間性や自尊心を育むものであり、その教育の場としての意義をもつと思います。
とくに実績と伝統のある学校は、そのポリシーや姿勢が世間にも晒されてプレッシャーになることもあるでしょう。
その重圧が、学生を苦しめることもあります。
関学ファイターズも「甲子園ボウル」六連覇を目指し「DOMINATE」というスローガンを掲げ「心身ともに強いチームであれ」と、言い聞かせてきました。
4回生キャプテン海崎選手も「自信と不安が両方ある」と語ってくれました。責任感あふれる姿勢は、いまどきの若い子たちには見られないくらいの勇気と清々しさを感じました。
若くて未熟だからこそ、スポーツからたくさんのものを学び、めいっぱい、まっしぐらに、仲間とともに喜びも悔しさも分かち合う。
その時の感動や教訓が、教育としても学生たちのその先の人生にも影響していくんですよね。
そして、
そんな一生懸命な姿に、我々も心を打たれるんですよね。
一方で、
体育会気質が生みだしたアマチュアイズムと、老舗という古い組織が起こす閉鎖性が、このような悲劇を起こしたのではないでしょうか。
日本大学アメフト部の一件は、これからの教訓として、再度各学校がその”在り方”を考えてほしいと思います。
話を関学ファイターズに戻しましょう!
K!SPOを通じて関学ファイターズを、初めてシーズン通して追いかけてきました。
選手の姿勢や取り組みだけじゃなく、チアや応援団の情熱といった、たくさんの魅力が学生スポーツには詰まっています!
夏の高校野球と同じように、学生アメフトはじめ学生スポーツにもっと注目してもらえると、学校もまた意識が変わるかもしれない。
そんな意識の変化を実践したのも、今シーズンの関西学院大学なんです。
春の交流戦で実施した「テールゲートパーティー」というイベントを、関大戦でも実施しました!
「アメフトを純粋に好きになってほしい」
そんな思いで、アメリカで定着している「エンターテイメント」を取り入れました。
お客さんにとっては、お金を払って見に行って、美味しいお酒やフードを食べて試合に熱狂する。
それはプロもアマチュアも区別はないんです。
学生だって“見られる意識”を持って精いっぱいのプレーに励み、学校は最高の環境を提供するために心を砕く。
そのうえで、プロでは見られない感動もまた見られます。
応援団、ブラスバンド、チアの応援の精神。
応援をすることで試合に参加をし、統制のもった応援をすることでお客さんを盛り上げる。
彼らは学校のためとか、先輩方のためにやっているんじゃないんです。
とにかく一生懸命な姿が、見ているこっちにも伝わってきます。
関大の応援団も、カッコよかたですよ!
彼らには最高のパフォーマンスをすることが、学びであり、青春なんです。
それは学校だけのことではなく、一般人である我々にも届くべき、素晴らしい世界です。
西日本大会へ駒を進める「運命の抽選」で、固唾を呑んで見守る応援団の姿。
そして、歓喜に沸くチアの姿。
以前ご紹介しました、チアリーディング部のリーダー山口湖子さんの涙には僕も込み上げるものがありました。
オトナの事情で左右される”アマチュアスポーツ”ですが、スポーツに熱中し、喜び合うことは誰にでも権利があります。
そんなスポーツを目いっぱい楽しめる世の中にするために、僕はぜひスポーツを見てほしい。
できれば現場で見てほしい!
スポーツは、皆さんの心を豊かにできるものだということが多くの方に知っていただけると、もっとスポーツをたくさんの人の力で守り、成長できる世の中になると思います。
そこで、直近のイチオシです!
学生アメフトの頂点を目指す「毎日甲子園ボウル」
選手の躍動を!応援のチカラを!!
現地で観てみませんか?
12月17日(日)に甲子園球場で開催です!!
詳しくはこちら
https://www.koshienbowl.jp/2023/
※イラストの転載・無断使用はご遠慮ください。使用をご希望の場合はK!SPO編集部までご連絡ください。
スポーツイラストレーターT.ANDOH
おもにスポーツを題材にしたイラストやデザインの創作で、スポーツ界の活性に寄与した活動を展開中。 プロ野球やプロバスケBリーグのチーム、選手にイラスト提供。 プロ野球選手には、伏見寅威選手(北海道日本ハムファイターズ)、中川圭太選手(オリックス・バファローズ)にロゴデザイン、イラスト提供中。 名古屋在住にも関わらず20年来のオリックスファンであり、その由来とイラストレーターの起源は神戸にある…!? |
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