南 郁夫の野球観察日記(111)4月終了。オリックス月間MVPは、この人!

2022年5月1日 (文/南 郁夫、写真/Yasutomo)

前年度チャンピオンということで、チームもファンも(慣れない)特別な思いで臨んだ今シーズン。しかーし。開幕逆噴射に始まり、いろんな選手が突然消えたりでメンバーまったく定まらずっ。だあれもホームラン打たないし、出てくる選手ほぼ打率1割台だし。挙げ句の果てにあろうことか「完全試合」まで食らってしまう、特筆すべき貧打ぶり。

なのになのに。4月終了時点でオリックスは1つ貯金ありで、15勝14敗の3位につけているではないか!?なんで?イメージ的には5位くらいなんだけど…。相変わらず得点はリーグ最下位だし、機動力あるわけでもないし、先発陣が絶好調というわけでもないのに。

それにしても、げに恐ろしきは「検査」なり。

黒木優太、頓宮裕真、宗佑磨、伏見寅威、太田椋、佐野皓大、若月健矢、阿部翔太、山足達也、杉本裕太郎、村西良太、福田周平。主力の彼らがミステリー小説のように突然消えたり亡霊のように戻ってきたり。駅前の喫茶店の馴染み客か、ちう。活躍した選手が次の日必ず消えてたり、一軍キャッチャーがマジックショーのように全員消えたりの怪奇現象が続くなか、中嶋監督は采配を振るう以前に「やりくり母さん」の様相で…すっかりお疲れの表情。

ずっと消えてるT-岡田もお忘れなく(怪我だが)。

どのように打線を組み替えたところで、もとより誰も打てなかった序盤。「”恐怖の”投手見殺し打線」が連日凡退を繰り返す中、それでも投手陣は崩壊することなく、まぐれで打線が3点か4点取れた試合だけを確実に勝ちに結びつけてきた。その結果、まだまだ全然オッケーいけるやん、なポジションで意外にも4月を乗り越えることができたのである。

というわけで投手陣全員「ようやった」ともいえるのだが、特に賞賛すべきがこのお方!

このお方がいなければ、前年度チャンピオンのオリックスは4月ですでに大ピンチに陥っていたであろう。そう。K!SPO的4月のオリッMVPは、我らが「ワーニン」38歳のベテランクローザー・平野佳寿投手であ~る!ぱふぱふ。

すでに2勝9セーブ、防御率1.29(4月終了時点)と、今年は最初から絶好調。8回担当の新外国人投手「BIG LEFTY」ビドルとのコンビで、僅差の試合をことごとく確実に拾っているのだ。チーム全体に不安定な要素が満載だった4月、最終回にマウンドに登った平野だけが我々ファンにおなじみの「安心感」を与えてくれたのである。

いつだって何事にも動じない、平野の面構え。鬼の形相でフォークを「ばっしばし」地面に叩きつけて必ず「最終的には」抑える!まさにプロの気迫で、平野は黙々とチームの勝利をたぐり寄せてきた。全盛期に比べると球速はだいぶん落ちてるし、球道がなんかおかしいときもある!先頭打者を歩かせたりもする!しかし「顔」だけで平野は相手を丸め込める!その「域」に達しているのだ。

先日達成した、日米通算200セーブは途方もない偉業だ。彼ほど過小評価されている「元メジャーリーガー」はいないだろう。ダイヤモンドバックスってのもあるのか。もちろんオリックス・ファンにとっては名選手中の名選手なのだが、その名は全国区とは言い難い。誰が彼を「地味」なんて言ったのだ?誰が?あ、自分でか。(著書「地味を笑うな」)

平野佳寿にはこの調子を続けてほしいが、チームとしてこのベテランに頼りきっている場合では、もちろんない。休ませたい。ここまで完全に投手陣にお世話になってた打撃陣、5月からは平野が出る幕ないような試合を作っていかんと!(大敗という意味ではないよもちろんね)幸い慣らし運転を終えたスーパーカー・吉田正尚のギヤが「5速」に入ってきたし、昨年の立役者・宗と紅林にも少しだけ雰囲気が戻りつつある。あと些細な3文字外国人問題、大きなラオウ問題、いろいろあるけどいい方向に向かうことを願うぞよ。

5月中盤まで踏ん張れば。どうせ交流戦で、貯金増えるから!(こらこらこら)

 


<過去コラム一挙掲載!>
オリックス、元メジャーリーガー、女子野球…ベースボール遊民・南郁夫の野球コラム集。

 

南 郁夫 (野球観察者・ライター)
通りがかりの草野球から他人がやってるパワプロ画面まで。野球なら何でもじっと見てしまう、ベースボール遊民。あくまで現場観戦主義。心の住所は「がらがらのグリーンスタジアム神戸の二階席」ブログ「三者凡退日記」
著書「野球観察日記 スタジアムの二階席から」好評発売中!
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