南 郁夫の野球観察日記(74) オリックス2020年度新人選手入団発表記者会見レポート!

2019年12月18日 (文/南 郁夫、写真/編集部)

今年もやってまいりました、新人選手入団発表記者会見の季節が。オリックス・バファローズはここ最近、新人がいきなり一軍でブレイクするので、見逃せないところ。目の前のバイト初日のような表情の若者が、何ヶ月後かには一軍のグラウンドで力強く羽ばたき… そんなドリームストーリーが今年も待っているかも。大阪駅からシャトルバスに乗って、会場の帝国ホテルにGO!

会見についての詳しく正確な内容は球団のホームページに掲載されているのでそちらに譲るとして、野球観察者の観察結果を記しておこうと思います。

すっかり広報の顔になられた「サトタツさん」からいつもの素敵な笑顔で取材パスをいただき会場に入ると、今年もファンのための観覧席も用意されており、各メディア報道陣、テレビカメラも多数。プロ野球選手として初めての晴れ舞台にふさわしい厳かで華々しい雰囲気のもと、初々しい選手たちが登場します。

ドラフト5名、育成8名の総勢13名が並んだ段上は、なんとも壮観。あと1名でも指名したら壇上から転がり落ちるんではないか?という大人数に、改めてびっくり。真新しいユニフォームもまぶしい若者たちの13の「希望」が会場にピカピカと降り注ぎ、それだけで「ええもん見たなあ」という気分になれます。

湊球団代表、西村監督の挨拶を神妙な顔で聞きながらだんだん場に慣れてきたのか、並んだ新人君たちがときどき隣の選手と目配せして「クスッ」と笑ったりするのが、なんだか修学旅行っぽくて可愛い。なんといっても彼らのほとんどは「まだ」高校生だったりするんですから。高校生とはいっても「いまどき」感はゼロで、おぼこいかんじ。そこはやはり球児たちですね。

イベントが進み、初めてのプロのお仕事である「代表質問への対応」が彼らを待っています。13人への質疑応答はボリューム満点でしたが、野球観察者の印象とともに彼らをざっと紹介しておくことにしましょう。

■ドラ1 宮城 大弥 #13 興南高校 投手 左投左打
期待の左腕(毎年言ってる)だが、独特の雰囲気。終始、不思議そ~うな顔で不思議な一点を見つめる彼の視線が忘れられません。沖縄出身ということで話に出た「防寒対策」については去年この場で心配していた宜保くんが教えてくれると思います。すごい福耳。

 

■ドラ2 紅林 弘太郎 #24 駿河総合高 内野手 右投右打
昨年の太田に続く、大型内野手の上位ドラフト。チーム方針は明確。ガタイの良さ(186cm)は太田以上で、期待を抱かずにおられない。おおらかな応答には大物の風格。目標とする選手を「ジャイアンツの坂本」と発言したときは、なぜか会場が微妙な雰囲気に。

 

■ドラ3 村西 良太 #22 近畿大 投手 右投右打
阪神・近本選手に続き淡路島から掘り起こされた(玉ねぎじゃないけど)逸材。高校生が居並ぶ中、さすが大学生の落ち着きを見せていた。早くそのサイドハンドで楽天・辰巳(大学の試合で対戦し負けたことがある)へのリベンジを見てみたい。

 

■ドラ4 前 佑囲斗 #43 津田学園高 投手 右投右打
「大エースの背番号を汚さないように」との発言に、たった2年で球界のエースにのし上がった山本(来季から背番号18)のすごさを思い知る。球が速いそうなので、山本に続いて欲しい。

 

■ドラ5 勝俣 翔貴 #0 国際武道大 内野手 右投左打
野球専門雑誌では打撃を評価されており、本人も「広角に強い打球が打てる」と言い切る。ひょっとしたらダークホース? 表情や語り口が妙に子供っぽくて、そのあたりの底知れなさが面白い印象。

 

■育成1 佐藤 一磨 #001 横浜隼人高 投手 左投左打
189cmの長身左腕。都会っ子?らしく面構えも受け答えもシャープで、スター性を感じる。「頭についている0の2つを取って、1軍で投げたい」ってことは、背番号1の左腕投手の誕生やん! 早く見てみたい。

 

■育成2 谷岡 楓太 #002 武田高 投手 右投右打
少年のような風貌と聡明そうな応答で、好感度大。高校時代は練習時間が一日50分だったらしく、それで指名されたということは… 潜在能力の高さを感じさせる。

 

■育成3 中田 惟斗 #003 大阪桐蔭高 投手 右投右打
野球名門校出身ながら甲子園には縁がなかったらしく、「自分は“これからも”下から這い上がっていくので」という決意表明に、ただならぬ決意が込められる。這い上がれそうな雰囲気が漂う。

 

■育成4 平野 大和 #004 日章学園高 外野手 右投右打
顔に似合わぬ「か細い」声と緊張のせいか棒読み風の受け答えで、この日一番会場を沸かせる。とぼけたキャラながら、走攻守とも評価が高いらしく、期待大。注目したい。

 

■育成5 鶴見 凌也 #005 常磐大学高 捕手 右投右打
「気遣い」できるキャッチャーになりたい、と上品な笑顔で発言。投手もやっていたほど肩が強いということで、貴重な捕手戦力になることは間違いなさそう。

 

■育成6 大下 誠一郎 #006 白鴎大学 外野手 右投右打
昔の政治家のような迫力ある面構えで、なんだか一人だけ普通の大人が混じっている印象。「とにかく結果出すだけなんで!」という発言がすでにプロっぽい。

 

■育成7 佐藤 優悟 #007 仙台大学 外野手 右投右打
個人的に、一番ツボに入ったナイスキャラ。この日は「喉の調子が悪く声がカスカス」だったらしいが、場の雰囲気に負けない、いたずらっぽい笑顔が曲者っぽい。

 

■育成8 松山 真之 #008 BCリーグ富山 右投右打
高卒→独立リーグ経由での指名。のせいか、落ち着いた涼しげな目元が印象的。とはいえ、まだ19歳。まっすぐで勝負したい、というその若者らしい心意気で支配下に上がってほしい。

 

総勢13名の希望に満ちた若い声を、たっぷり聞かせていただきました。平均年齢、なんと19歳。高卒入団8名も育成入団8名も、チーム史上最多だそうです。「若い素材を舞洲で鍛え上げる」という球団の明確な姿勢を強く感じる入団発表イベントでした。会場には選手のご家族も詰めかけており、同じ気持ちで彼らの活躍を祈りたいと思います。

事実、24時間野球に専念できる舞洲という場所から素晴らしい逸材がどんどん誕生している昨今。今年の新人君たちもどんどんそこから巣立って行って、オリックスの選手育成システムが他球団から恐れられるようになっていってほしいなと思います。そうするとチームの成績も自ずと…ね。とにもかくにも、2020年に期待しましょう。

それにしても、育成選手の背番号が001~008とは。わかりやすいけど、なんか受験番号みたいですね。

 


<過去コラム一挙掲載!>
オリックス、元メジャーリーガー、女子野球…ベースボール遊民・南郁夫の野球コラム集。

 

南 郁夫 (野球観察者・ライター)
通りがかりの草野球から他人がやってるパワプロ画面まで。野球なら何でもじっと見てしまう、ベースボール遊民。あくまで現場観戦主義。心の住所は「がらがらのグリーンスタジアム神戸の二階席」

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