スポーツイラストレーターT.ANDOHの「OUTSIDER’s ReCALL」(164)関学ファイターズ、リーグ優勝!相手を突き放した立命館大戦

2025年11月11日(イラスト・文/T.ANDOH、写真/Azusa Suzuki

こんにちは!スポーツイラストレーターの T.ANDOH です。
関西学院大学ファイターズ、リーグ優勝をかけたリーグ最終戦であり、甲子園ボウル出場に向けて「負けられない相手」である立命館大学パンサーズ戦が11月9日に万博記念公園競技場で開催されました。

もう一度、優勝の行方と甲子園ボウルに向けてのおさらいをしましょう。
リーグ戦を全勝で迎えた立命館大と、一つ引き分けを持って2位で迎えた関学。
そして1敗と1分をしている関大が上位三傑として、甲子園ボウル出場に向けた全日本選手権(以降トーナメントと称します)に進出が決まっています。
関学はこの立命館戦で「勝てば」逆転優勝。負けると関大の最終戦の結果次第で、2位にも3位にもなる状況です。
関学としては何としても勝って優勝を決めたい。
今後のトーナメントの組み合わせにも影響を及ぼす順位争いの渦中であり、かつ甲子園ボウルで優勝するためにも、立命館は負けたくない相手なんです。

試合は大雨のなか、立命館のリターンで始まりました。
立命館は圧倒的なランを持つ3回生RB(ランニングバック)の蓑部雄望選手と、意表をつくスペシャルプレーが最大の警戒。
この日も1Qからスペシャルプレーでロングゲインを獲得します!
しかし次のプレーで投じたパスを関学3回生DB(ディフェンスバック)の伊東利晃選手がキャッチしてインターセプト!
関学に攻撃が移りますが得点には至らず、続いて立命館は蓑部選手のロングランでゲインを獲得しましたが、こちらもクォーターをまたいで得点にはならず。
前半は天気のように重い展開で試合が続いていきます。

実際、雨で足場が悪く、パスにおけるボールのタッチ(感触)にも苦戦する展開だったと思います。
そんな中でも、2Qは星野太吾選手のパスが通る場面が出てきました。
「監督から『パス投げれるか?』との問いに対して(投げる)感触は良かったので行けると臨んだところにプレーコールもかかって、準備していたとおりのプレーができました」
圧倒的なラン攻撃に対処するうえでも、パスの感触が良かったというのは星野選手にとっても良いモチベーションで試合に臨めたと思います。

またこの日はオフェンスラインのブロックもとても良かったんです!
写真をご覧いただいても、星野選手の前でしっかりとブロックができている様子を感じてほしいです。
ターゲットを探してファンブルリターンを喫するなど油断できない場面もありましたが、オフェンスラインの堅いブロックもあって自ら走る場面も多く、2Q終了間際に攻撃をつないだ関学は、フィールドゴールを決めて待望の先制点を奪い、前半を終了しました!

前半はフィールドゴール一つという緊迫した展開となりましたが、ディフェンス面でも相手に得点を許さない気迫を感じるプレーがありました。
4回生DBの東田隆太郎選手は、QBサックに加え最大警戒である蓑部選手の行き先を阻む猛烈タックルを連続で決めるなど守備で活躍。

4回生キャプテンのDL(ディフェンスライン)前田涼太選手をはじめ、2回生の田中志門選手、そして1回生の武野晋平選手の分厚いディフェンスも試合を引き締めていました。

そして、3Qに入ると、関学に追加点が入ります!
ランを中心に攻撃を展開した関学ですが、要所では星野太吾選手から3回生WR(ワイドレシーバー)リンスコット・トバヤス選手へのパスが決まりゲインを獲得。

そして最後は星野太吾選手が中央を突破してタッチダウン!
ここもオフェンスラインのブロックが功を奏してみごとに道ができたところに飛び込んでいきました。

会心のタッチダウンにフィールドの選手たちも興奮気味に星野選手を讃えます!!

さらに立命館の攻撃をパントに追い込んだ次のシリーズ!
2回生WR立花俊輝選手へのパスが決まりゲインを稼ぐと、2回生RB永井秀選手がラッシュをすり抜けてタッチダウン!!

追いかけてきた立命館ディフェンスに引っ張られるも倒れることなくゴールへ駆け込んでのタッチダウンとなりました。
ショートヤードが得意の永井選手ですが、長い距離でもそのパワフルさを発揮したランとなりました。

3Q終盤、立命館は1回生RB奥村倖大選手のロングゲインで得点圏に侵入すると、クォーターまたぎの4Q初頭にフィールドゴールが決まって3点をあげます。
4Qに入ると関学オフェンスはランが有効にゲインを重ね、星野兄弟の兄、秀太選手も登場してオフェンスを展開していきました。

そして関学は終盤に、再びフィールドに戻ってきた「弟」の星野太吾選手が、ラッシュをかいくぐって右サイドに流れ、そのままゴールへ。
立命館へとどめとなる3つ目のタッチダウンを奪いました!!
立命館も残り時間で一矢報いようと最後までオフェンスを展開します。
最後までタッチダウンを奪おうとロングパスで奮闘しますが、4thダウンギャンブルもあえなく失敗となり試合終了。

関西学院大学ファイターズ 24 × 3 立命館大学パンサーズ

前半の展開からは一転、関学が大幅リードをもって勝利を挙げ、この瞬間に関学の7大会連続、62回目の優勝となりました!
なによりも立命館を下して、3年ぶりとなる単独での優勝を決めたことは嬉しいですね!!

 


大村監督
「ディフェンスのパシュート(ターゲットを追いかける)が良く、しっかりとボールに集まることができて良かったです」
「後半1シリーズ目でタッチダウンが取れたことで、選手にも落ち着いて取り組めて、(試合を左右するポイントとして)大きかったと思います」
「オフェンスラインがとても良かったですし、永井秀が持ち味を発揮できましたね」
「一方でロングゲインを許す場面では甘いところもあったので、まだまだ精度を上げることができると思います」

 


4回生DB、東田隆太郎選手
「良いプレーを出すことはできたんですけど、それは前(ライン)がしっかりと作戦通りのディフェンスをしてくれたおかげなので、個人技ではまだまだ出来ると思っています」
「ディフェンス全体でコミュニケーションが取れるようになってきているので、全員でディフェンスができている実感が神大戦あたりからあります」

 


4回生DL、山本桜汰選手
「3点に抑えることができたのは本当に良かったですが、練習でも起きているミスでロングゲインを許した場面があったので、そこは反省して次に生かしたいと思います」
「みんなが意識してチームが一つになれたことは実感できました」
「一戦必勝の思いで立命戦に臨めたので、この思いでトーナメントも勝ち抜く意識で取り組んでいきます」

 


3回生WR、リンスコット・トバヤス選手
「今年はパスで勝とうとQBとも話をしていて、パスでつなぐことを意識して戦ってきたので、今日のような雨はパスプレーには不利ですが、だからこそしっかりとパスでつなぐことも意識して準備をしてきました」
「今後のトーナメントでも、QBの信頼を得てしっかりとパスを繋いで得点が取れるよう、日々の練習をさらに強化していきたいです」

 


キャプテン4回生DL、前田涼太選手
「相手OLをしっかりと止めて、後ろ(DB陣)にしっかりとタックルをしてもらえるよう全員でディフェンスを固めていくことを考えて試合に臨みました」

 

2回生QB、星野太吾選手
「前半に不甲斐ないオフェンスをしていた中でディフェンス陣が踏ん張ってくれていたので、『自分たちのオフェンスをしっかりやろう』と声を掛け合って後半プレーしました」
「派手なプレーよりも、しっかりとチームが勝てる試合ができるように心がけて次にも臨みたいです」
周りのチームメイトの頑張りを称え、よりチームとして結束が固まったという印象を選手のみんなは口を揃えて言ってくれました。
そして、星野選手の最後の言葉が関学のアメフトらしさを感じますね。

スペシャルプレーを仕掛けてくる立命館に対して、自分たちのアメフトをしっかりと磨き上げた感じがした今回の試合。
それぞれの持ち味を発揮して、理解しあっているからこそ生み出せたプレーで、勝利を掴み取った印象がありました。
前田、星野両選手は、最後にホロッと笑顔がこぼれるガッツポーズを見せてくれました。
それぞれが責任がのしかかる中で試合を戦って、まだまだ気は抜けないんだけど、優勝をしたこの瞬間だけは自分たちを褒めてあげられるのかなと思う、そんな安堵の笑顔だったと思います。

リーグ戦が終わり、再来週から甲子園ボウルへ向けたトーナメントが始まります!!
関学はこの後も2試合を勝ち抜可なければなりません。
選手たちはこの立命館戦に向けてチーム力が一層増したと思っているし、それをさらに昇華させないと「甲子園ボウル」は勝てないと感じています。
これから、さらにどんなプレーを見せてくれるかが楽しみです。
そして「甲子園ボウル」では、もう一度立命館と対戦する可能性もあります。
立命館以外にも脅威となるチームがひしめき合っているトーナメントですから、ますます見逃せない戦いが続きます。

甲子園ボウルに向けて、さらに注目が高まってほしい!
ので、今日も言います!!

次回の関学ファイターズは日本選手権の中京大学戦。
11月23日に、なんと僕の地元、名古屋の「瑞穂ラグビー場」で開催です!!

 

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スポーツイラストレーターT.ANDOH

おもにスポーツを題材にしたイラストやデザインの創作で、スポーツ界の活性に寄与した活動を展開中。
プロ野球やプロバスケBリーグのチーム、選手にイラスト提供。
プロ野球選手には、伏見寅威選手(北海道日本ハムファイターズ)、中川圭太選手(オリックス・バファローズ)にロゴデザイン、イラスト提供中。
名古屋在住にも関わらず20年来のオリックスファンであり、その由来とイラストレーターの起源は神戸にある…!?

 

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