南 郁夫の野球観察日記(213)2025オリックスを3位に押し上げた原動力は… 熱くてタフなこの男!

2025年10月4日 (文/南 郁夫、写真/Yasutomo)

オリックス・バファローズ本拠地最終戦を楽しんできたのだが、実は私は「消化試合」が嫌いではないので(好きなので)、いつぞやの神戸の雨天中止の振替試合、9月29日(月)の楽天戦@京セラにも行ってきたのである。そこで私が見たのは、消化試合らしからぬ、一人の男の熱い熱いワンマンショー。

もちろんその名は、九里亜蓮。
まずは、試合前のようわからん練習から。

初めて組む福永のサインに初回は「壊れた雛人形」のように首を振り続けるも(異様に多い変化球の種類が覚えきれない)、次第に息が合うバッテリー。

その福永がいきなり2回に思いっきり引っ張ったプロ初ホームラン(おめでとう)を放つと!
(ベンチでこんな笑顔のマモさんみたの初めてや)

145キロを「叫び声」で160キロに感じさせる幻惑投球は、回を追うごとに熱を帯びるばかり。8回まで楽天を零封するのである。

完封まであと1回。でも消化試合でそこまで無理すんの? で。ベンチに戻った九里と厚沢コーチの決定的なショットを専属カメラマンがものにしたので、見てほしい!

九里「あと1回(最終回)いぐっ!」

厚沢コーチ「ええけど… 3人までな!」

そして。スタンドの大声援に送られて九里は最終回のマウンドに上がるも、なんと先頭打者に四球で、あららー。しかしそこから血相を変えて(いつでもだが)再び炎の投球を展開し、ファールフライとダブルプレーで、み、見事「3人で」最終回を抑え込んだのである。今季、初完封。
ちょっと、こちらの胸も。熱くしてくれるやんか!消化試合やのに。九里。

スコアはB4-0E。
いかなる試合でも「優勝がかかったみたいな」形相で投げる男、九里。熱くてタフ。昭和の野球漫画のようにわかりやすい九里のキャラは私の今年の最大の楽しみだったし、「なのに変化球投手」というそれこそ「変化球」が、私のツボであり続けた。

防御率2.41で、11勝。シーズン通して投げ続けた九里は間違いなくオリッを3位に押し上げた原動力、ていうか実質エース。よく来てくれました、オリッに。ちなみに、私は打者で一番好きなのが西川(の変態打法)だし、広島には足を向けて寝れない。向けてないと思う(たぶん)。

3位争いのライバル・楽天イーグルスさんもおつかれさまでした。ちょっと最後の失速、意外だったけど。

というわけで。シーズン開幕からあっという間にここまで来たかんじ。今年もそれなりの試合数、野球観察を楽しむことができて、ハッピーだった。球場はいつだって平和。全ての野球ファンに幸あれ、である。

あれ?なんかぜんぶ終わったような口調になっとる?帰ってきますとも、大阪に。ねえ?

 

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南 郁夫 (野球観察者・ライター)
通りがかりの草野球から他人がやってるパワプロ画面まで。野球なら何でもじっと見てしまう、ベースボール遊民。あくまで現場観戦主義。心の住所は「がらがらのグリーンスタジアム神戸の二階席」ブログ「三者凡退日記」
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