スポーツイラストレーターT.ANDOHの「OUTSIDER’s ReCALL」(155)関西学院大学ファイターズ、2025年シーズン開幕戦!

2025年9月2日(イラスト・文/T.ANDOH、写真/Azusa Suzuki

こんにちは!スポーツイラストレーターのT.ANDOHです。
関西学生アメリカンフットボールリーグが開幕しました!
2年ぶりの甲子園ボウル出場をかける関西学院大学ファイターズは、8月31日に開幕戦となる甲南大学レッドギャングとの一戦に臨みました。

1Qから関学は積極的にオフェンスを展開します。
スタメンQB(クォーターバック)の2回生星野太吾選手が単独ランでゴール直前まで大幅にゲインすると、同じく2回生のRB(ランニングバック)永井秀選手の中央突破が決まり先制のタッチダウンを決めます。

その後も星野選手から短いパスを受け取った2回生RBの平野日々輝選手が相手選手をかわしてサイドラインを駆け抜け、2つ目のタッチダウンを決めました。
ブリッツ(QBに直接攻撃をかけて突進してくるプレー)がかかるなかで星野選手が放ったパスを、平野選手がよく見ていたプレーでした。

さっそく2つのタッチダウンを決めてリードした関学でしたが、前半は思いがけず苦戦も強いられました。
甲南大学の揺さぶりをかけるようなオフェンスに関学ディフェンスがやや振り回され気味となります。
甲南大学は今季1部に復帰をしたチームですが、少ない人数で総力戦を覚悟したオプションプレーが目立ちました。

2Qには2回生QB阪本幸之助選手のパスを3回生WR(ワイドレシーバー)徳山諒成が受け取り反撃のタッチダウンを奪います。
このプレーも、バックパスなど阪本選手の機転を利かせたプレーでゲインを重ねた結果となりました。
前半はゲーム時間を使ってプレッシャーをかけてきた甲南大学の頑張りもあり、関学は2Qでは1つのフィールドゴールに終わります。

しかし後半、ディフェンス陣は甲南のオプションプレーにもアジャストできるようになると、一気に試合の流れも関学ペースとなってきました。
3Q以降は得点ラッシュとなり、星野太吾選手のロングパスを3回生WRリンスコット・トバヤス選手がキャッチしてタッチダウン!

この得点を機にQBを星野太吾選手から実兄の4回生星野秀太選手にバトンタッチ。
兄秀太選手も4回生WR五十嵐太郎選手に向けてロングパスを決めてタッチダウンを挙げます。

兄弟そろってに攻撃のバリエーションが増えました!
大村監督は「兄弟を競わせる。」と言い続けていて2人を切磋琢磨させているところ。
それぞれの良さもある中で、とりわけこの試合では縦のパスもしっかりと通り、レシーバーとの連携の強さを感じる一面がありました。

一方で春のシーズンに「課題」と言われていたのがラン攻撃。
しかし、この試合ではランについても良いプレーがありました!
3回生RB松村亘選手は、フルバックの位置からパワフルにスクランブルを切り抜くパワフルなランを見せて、3Qにはタッチダウンランを決めました。
エースRBの4回生井上誉之選手を筆頭に、勢いのあるランが魅力の平野日々輝選手、タフなラン攻撃を見せる永井、松村両選手、スピードの3回生深村麟太郎選手など、RB陣はメンバーが揃っています。

関西学院大学ファイターズ 52 × 7 甲南大学レッドギャング

最終的には関学が7つのタッチダウンを決めて圧勝!
この日をもって閉場する王子スタジアムの最後の試合を勝利で飾りました。

2回生RBの永井秀選手。
春に起こした怪我から万全ではないというものの、フィジカルの強化を夏の練習でもしっかりとこなしてきたそう。
オフェンスリーダーにも指名されているそうで、ランで攻撃を盛り上げていきたいと話してくれました。

4回生RBの井上誉之選手と、2回生RBの平野日々輝選手。
「1対1で勝てる練習をしっかりやって、ミスを起こさず確実にタッチダウンに繋げることを心がけてきました」(井上)
「OL(オフェンスライン)とコミュニケーションを深めてきたのが、少しずつ結果に出ていると思います。」
「一方でまだまだ課題に思うランもあったので、反省点をしっかり振り返りたいです」(平野)

3回生RBの深村麟太郎選手と松村亘選手
「個人的にフルバックという位置は良かったと思います。深村と2人でのし上がっていきます」(松村)
「持ち味の「足」をもっと生かして、この先の試合スターター目指して頑張りたいです」(深村)

RB陣のコメントが続きましたが、全員が異なった特性を持っていて、本当に面白いと思うんです。
皆が一同に自分の殻を破ってスキルを上げていきたいと意気込んでくれました。
ぜひチームの躍進のなかでRB陣の活躍と成長を注目してほしいです。

前半に苦戦したディフェンス陣からは3回生DB(ディフェンスバック)の伊東利晃選手に話を聞きました。
「前半に対策していなかったオプションをかけられてしんどかったですが、春の交流戦で対策していたディフェンスプランを試したら、うまくアジャストできました」
後ろから見守る立場で見えたディフェンスの気づきとチームの対策を語ってくれました。
待ったなしの試合の中で、不利な状況から戦況を分析し、全員で考えて対策を練っていく…。
アメフトの奥深さと面白さを体現できるコメントです。

そして同じく3回生DBの藤田昂太郎選手。
「昨年は機会に恵まれずに苦しい一年を過ごしました。出られない時期にどれだけ踏ん張れるかと思って自分を奮い立てて、今年は勝負の一年にしてやろうと思って試合に臨んでいます」
甲南大に苦戦した前半戦に、個人的に気になった選手!
すごく広い守備範囲で奮闘していたのを見て声をかけてみたら、アツいハートを持った選手でした…!!
K!SPOとしては、こうして一人でもたくさんの選手を取り上げて、目立たない選手にも光を当てていきたい!

4回生WRの五十嵐太郎選手。
「春先からこの夏の練習も、縦のパスを重点的に練習してきましたから、初戦から良いプレーを見せられて良かったです」
星野兄弟との連携の良さも感じられる頼もしいコメントですね。

関学相手に一矢報いようと奮闘する甲南大の奮闘を見ながら、関学もしっかりと試合の中でみんなでペースを立てなおして勝利をする。
それぞれの選手の思いも感じると、1試合の中でもドラマのある開幕戦となりました。

次回は9月6日(土)!
甲南大学と同じく1部昇格を果たした同志社大学との一戦となります。
個人的には「侮れない」チームなのではないかと思う同志社大学。
どんな戦いが待っているか、楽しみにしたいと思います。

そして、あらためて69年という歴史に幕を閉じる王子スタジアム。
王子スタジアムへ別れを惜しむ人たちの一夜の物語もありました。
こちらは、またあらためてお話ししましょう。

まだまだアメフトは開幕したばかり!
甲子園ボウルを目指して戦う選手たちの奮闘を、これからお伝えしていきます!
そして皆さんにもぜひアメフトを注目し、スタジアムに足を運んでもらいたいので、今日も言います!

 

 

 

 

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スポーツイラストレーターT.ANDOH

おもにスポーツを題材にしたイラストやデザインの創作で、スポーツ界の活性に寄与した活動を展開中。
プロ野球やプロバスケBリーグのチーム、選手にイラスト提供。
プロ野球選手には、伏見寅威選手(北海道日本ハムファイターズ)、中川圭太選手(オリックス・バファローズ)にロゴデザイン、イラスト提供中。
名古屋在住にも関わらず20年来のオリックスファンであり、その由来とイラストレーターの起源は神戸にある…!?

 

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