南 郁夫の野球観察日記(150)梅雨の野球

2023年7月9日 (文/南 郁夫、写真/Yasutomo)

観戦予定の試合の一週間くらい前から、スマホの天気予報アプリの長期予報をチラチラ見始める。2日くらい前からは刻々変わる予報を3時間ごとくらいに見てしまう。アホな時間の無駄遣いである。スマホなんてものがあるから、いかんのだ。でもこの感覚自体は懐かしい。神戸が本拠地だった頃、梅雨の時季は天気予報ばっかり気にしてなあ。

7月8日(土)久しぶりの神戸開催日の予報は梅雨前線の雨が避けられそうになかった。んーでも、もっと局部予報はないのか?あそこは須磨区だけどほぼ垂水区?西区?やろ?と直前まで「壮大な時間の無駄」を行いながら、雨仕様の観戦支度(大型ビニール袋、防水小物入れ、濡れてもいいズボン、靴…)をするひとときも、また懐かしい。球場に屋根なんてなかった頃は、みんな普通にやっていたことだ。

出かける前ならまだいいが、球場に着いてから、あるいは向かう途中で中止発表なんてのもよくあった。小さかった頃の息子は中止でよく泣いていたなあ。中止になったり、しょうもない試合だったり、ボコボコに負けたり、そういう現実を学んでいくのが「野球現地観察道」なのである。小さい頃から「無念」を学ぶ!細部に喜びを見出す!お天道様と野球の神様には逆らえない。

んがしかし、7月8日は誰の「念」が通じたのか、低く垂れ込んだダークな雨雲を傘の先でちょっと突ついたら土砂降りの雨が降ってきそうな「ザ・曇天」にもかかわらず、なぜか水滴がポツリとも降らず、なんの問題もなく試合が行われたのである。そんな状況なのにほぼ満員のグリーンスタジアム神戸!首位をいくチームの人気は、高まるばかりだ。

ポテトチップが口に入れるまでに湿る… ほどの圧倒的ハイパー高湿度の中、山本由伸と高橋光成のエース対決という幸福。結果的には山本由伸が楽しそうに完投して投げ勝ったのだが、お互い「ふるまい」がエースらしくて、見応えがあった。花火も「強引に」打ち上げられてファンたちも大喜び。湿度は高いが風が吹き抜け、終始居心地のよい場内。神戸のお客さんは応援の仕方もバラバラだし、誰も怒ってないし、自由な雰囲気が良いね。

そんな中、山本由伸がスイスイと1失点の完投勝利。たぶん、最後まで「完投用ギヤ」で投げていたと思う。報道によると体調管理の秘訣は「スマホ断ち」だとか。彼は天気予報などチェックしないのだ。勉強になります。

というわけで、幸いにも絶賛梅雨前線活動中の合間を縫って行われた「めっけもん」の試合の模様は、フォト形式で。
試合の方も「めっけもん」でした。

山本由伸vs高橋光成!なんと豪華なマッチアップ!

この計算された後ろ髪を見よ!株主とやら

昇格後の初打席(だけは?)は打つ!
野口智哉、鮮烈の先制タイムリースリーベース

あざっす!追撃2ランホームラン 紅林弘太郎
あの逆転サヨナラ弾も神戸だったなあ

でも監督になんか言われて謎笑する紅林

僕の時代が来た!宜保翔、渋いダメ押し安打

今日も「おとなりさん」が守ってますよ

「完投できるっしょ」「気楽に言うなや」

「そのグラブの色、何色って言うんですか?」「知らん」

「FAどうしっよかなあ」「あ、お前そんな・・」

ちょっと調子上がってきた?宗佑磨

最終回は、守備しっかり固めときますか

というわけで、スイスイと完投勝利で「ぴよぴよ」サイン。かわゆ

由伸タイム(2時間半)で、試合終了。早っ。

「出番なかったなあ」「そんなことよりお前の髪型…」
「いやいや、お前の髪型!」「湿度高いねんもん」

本日のヒーロー

 

 

南 郁夫 (野球観察者・ライター)
通りがかりの草野球から他人がやってるパワプロ画面まで。野球なら何でもじっと見てしまう、ベースボール遊民。あくまで現場観戦主義。心の住所は「がらがらのグリーンスタジアム神戸の二階席」ブログ「三者凡退日記」
著書「野球観察日記 スタジアムの二階席から」好評発売中!
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