南 郁夫の野球観察日記(126-1)オリックス地元最終公式戦は、まさかの結末
2022年10月1日 (文/南 郁夫、写真/Yasutomo)
負ければソフトバンクのリーグ優勝。9月30日(金)@京セラドーム。レギュラーシーズン地元最終戦の9回裏は、緊迫の局面を迎えていた。3-3の同点。2アウト3塁で打席の福田周平のカウントは、3ボールノーストライク。「試合を決めるのは次の宗かな?」と思った瞬間、誰も予想がつかない行動に、福田は出たのだ。
ロッテの守護神・オスナがストライクを取りに来た4球目を、セーフティー・スクイズ!慌ててダッシュしたファースト山口航輝がボールを拾い上げ、どう猛なウサギのように走る福田にグラブタッチを試みるも、すばしこくそれをすり抜けた福田は一塁を駆け抜けて・・・セーフ!サヨナラ!
まさかのエンディングに超満員のスタンドの興奮は最高潮!そしてベンチからオリッ選手が飛び出そうとしたその瞬間・・知らぬ間にベンチからスルスルと不動明王のように出現したロッテ井口監督のお馴染みの仕草で「イグエスト」が発動されたのである!おそらくスリーフィート関係の抗議と思われるも、なぜか審判団は即座にイグエストを封殺!めでたくオリッのサヨナラ勝が成立したのである。
いやあ、それにしても。あそこでセーフティーを決める福田周平の勇気と覚悟と技術!去年の有名な小田のバスター・サヨナラと違って、これは福田自身の判断だろうし・・・。いつも思うが、いろいろ言われるが福田周平はオリッでいちばん根性が座った男である。今んとこ誰もその牙城を崩せない。並大抵の神経では、あの状況であれは実行に移せないだろう。誰かの好みに合わないとしても、大一番でのスタメンは「やっぱり福田」ということになるのである。
いろんな意味で「痺れた」この試合。負けたら優勝を逃す局面で能見の引退試合を絡めてしまい(さすがに9月30日には決着ついてると思うやん?)まさかの3万以上の観客を集める中、初回の2点以降まったく打てないお馴染みの攻撃陣、「彼にしたら」調子が今ひとつの山本由伸が7回に追いつかれて同点・・・の局面で引退登板の能見をぶっ込んできたときには「げっ」と思ったがなんとかしのいで、8回裏に「この日激熱!」の宗が「炎の本塁突入」で勝ち越したときは「決まったああ」と思ったのに、9回に「悪い方の」平野劇場開演(とはいえ、決して勝ち越しは許さないのが平野劇場)。
地元レギュラーシーズン最終戦は、あんまりにも盛りだくさんの内容でお腹いっぱい。売店は長蛇の列で何にも買う気が起こらなかったけど。おそらく2年ぶりに3万人以上集めた京セラは、かつてない大盛り上がりとなったのである。
で。1週間前の試合で勢いをつけてあげたのに、ロッテはあれからソフトバンクを痛めつけてくれなかったし、山口航輝はあの後くるくる三振するばかり。昨年最後まで死闘を繰り広げたのに、今年はCSを逃してしまったロッテ。ちょっとしたことでこうなるのが、激戦パ・リーグなのである。でもロッテの選手にもいろいろ楽しましてもらったし、来年もよろしくである。「くいくい」動く益田の足を見れただけで満足だ。
さて。これを書いている時点で優勝の行方はわからないが、この試合はすでにCSのような緊迫感があり、オリッ選手はすでにそれに耐えうるメンタルを持っていることがようくわかった。
今シーズンもまだまだ野球は終わらない。楽しい10月になりそうである。
次ページは、ありがとう能見さん!引退試合フォト特集!
<過去コラム一挙掲載!>
オリックス、元メジャーリーガー、女子野球…ベースボール遊民・南郁夫の野球コラム集。
南 郁夫 (野球観察者・ライター) 通りがかりの草野球から他人がやってるパワプロ画面まで。野球なら何でもじっと見てしまう、ベースボール遊民。あくまで現場観戦主義。心の住所は「がらがらのグリーンスタジアム神戸の二階席」ブログ「三者凡退日記」 |
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