南 郁夫の野球観察日記(53) 今年も阪急ブレーブスを見てきた!KANSAI CLASSIC 2018

2018年5月4日(文/南 郁夫、写真/Yasutomo)

オリックス・バファローズは、今年も過去のユニフォームで戦う「KANSAI CLASSIC 2018」をGW前半に開催。近鉄vs南海、阪急vs西武という、あり得ないのにあり得るカードが実現し、オリックスはそれぞれ近鉄(78-96)と阪急(85-88)のビジターユニフォームを着用して6試合を戦った。結果的に、上位チーム相手のこの2カードを連続で勝ち越し、4勝2敗。オリックスにとって猛牛・勇者魂「注入」で浮上のきっかけをつかんだ、上々のKANSAI CLASSICとなったのである。

球場には連日多くのオールドファンと若いファンが入り乱れ、片や懐かしく、片や新鮮に80年代テイストの応援歌やBGMを楽しみながら観戦する姿は、今年も心温まる光景であった。阪急ブレーブスも近鉄バファローズも南海ホークスも、かつて確かに存在した。もちろん幻ではない。年に一度そのことを思い出すことは、パ・リーグの選手とファンにとって大切な事なのである。

が。主旨に沿って南海(ソフトバンク)は84-88年ユニで「寄せて」きたのに、残念ながら西武の復刻ユニは胸のLIONSが全て大文字の2004-2008年版。大人ならスルーするとこかもしれないが、私はユニと背番号には「細かい」男である。演出は80年代なのだから、やはり昔ながらの西武ユニにしていただきたかった。とはいえ、どちらにしても、西武にはスカイブルーがしっくりくるなと。西鉄ライオンズを意識した?今の白黒ユニよりもやっぱりこっちだよと思ってしまう。

さて。私が観戦したのは5月2日の「阪急vs西武」。今シーズン、快進撃を続ける西武ライオンズの「秘密」を見届けようと球場に足を運んだら、いきなり序盤に獅子打線が爆発してボコボコと5得点。あらま。秘密も何も「めちゃ打つ」んだ、今年の西武は。天才・秋山が「はしっ」、浅村が「ぶんっ」、山川が「ぶひっ」、メヒアが「どかん」。若い源田、外崎は攻守に動きがシャープだし、ベテラン栗山も健在。捕手陣も豪打の森にベテランの炭谷が控えている。むむう。

どの選手も実に思い切りよく、迷いなくバットを振る。リーダーの浅村を筆頭に、なんともたくましく、若くて豪快でおおらかな明るさがある。体格的にもキャラ的にも、いいバランスのチームに仕上がってるなあと思う。「めっちゃ強い地元の工場の野球チーム」みたいで、雰囲気がいい。これで投手陣が好調なら、ちょっと勝ち目が… ね。

んが!驚くなかれ。この西武を相手にこの日の「阪急」は、その5点差をはね返してみせたのだ。「快楽的」にバットを振る西武選手に誘発されたのか、「ホームの踏み忘れに~ご注意ください(近鉄vs南海でのスタメン発表時アナウンス)」マレーロが「ぶいんっ」、吉田正が「ばしいっ」、ルーキー福田が「ごつん」、そしてロメロが決勝ホームランを「ばいーん」と。気持ちのよいほどの逆転劇を見せてくれた「阪急ブレーブス」に、ブレービーも「びっくり顔」でご満悦であった。

私が注目したのは、ルーキーの福田周平#4。若いのにまるで「阪急のセカンド」みたいなグラブさばきと、あの福本豊さんを少しだけ彷彿とさせるバッティング、足の速さ! プロ初打点のタイムリーは貴重な同点タイムリーとなり、控えめにガッツポーズをする福田に大歓声が上がる。そのとき私は、彼の笑顔(一瞬)を初めて見たのである。

ここまで、必死だったろう。開幕前に練習時の「ほっともっと神戸」のベンチ裏で目撃した彼は、まだまだ新人そのもので、心細そうに見えた。昼食の場所がわからなかったらしく、通路で一人立ち尽くす目が泳いでいたのを覚えている。しかし、しっかり頑張って一軍のポジション争いに食い込むまでに認められた、福田くん。福良監督は「どこに置いてもいい働きをしてくれる。野球を知っている」とコメント。最大限の賛辞ではないか! 彼の成長は、今シーズンの見所の一つである。

というわけで、いろいろ楽しかった「KANSAI CLASSIC 2018」。昨年は興奮して復刻グッズに「大・散・財」した私も、今年は豊富なグッズを目の前にしても、落ち着いたものであった(欲しいものが売り切れていただけだが)。まあ、この企画もすっかり定着したということであろうか。で。気になるのは、今年の復刻ユニが「ビジター」だったこと。なぜにビジター? ネタ切れ? という声も出ているが、私は何度も言っております。何か… 忘れていませんか?と。

まだ、2000年代「斜体文字」のブルーウェーブが復刻されてないんですけど!
(記憶から消したいのか?)

 


<過去コラム一挙掲載!>
オリックス、元メジャーリーガー、女子野球…ベースボール遊民・南郁夫の野球コラム集。

 

南 郁夫 (野球観察者・ライター)
通りがかりの草野球から他人がやってるパワプロ画面まで。野球なら何でもじっと見てしまう、ベースボール遊民。あくまで現場観戦主義。心の住所は「がらがらのグリーンスタジアム神戸の二階席」

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