南 郁夫の野球観察日記(30)
チームを支える人たち オリックス広報担当・仁藤さん

2017年5月20日(取材・文/南 郁夫)


昨年の田口二軍監督インタビューに始まった、オリックス・バファローズへの取材ミッション。そのすべての窓口となってアテンドしてくださっているのが、広報部の仁藤さんである。一般に広報といえば「背広組」のイメージだが、彼はときにはジャージ姿でミットをはめて、試合前のチーム練習に普通に参加していたりもする。彼はまだ20代の、元オリックス選手なのである。

いつも丁寧で礼儀正しく、マイルドなイケメン・仁藤さん。彼がどんな経緯で、どんな思いで、現在のお仕事をしておられるのか? 私はずうっと興味津々だった。今回の「チームを支える人たち」シリーズは、そんな仁藤さんへのインタビューが実現。5月12日(金)ほっともっとフィールド神戸での西武戦の試合前に、お話を伺うことができた。

<支える人 その4>
オリックス・バファローズ 広報部
仁藤 拓馬さん
1988生 
静岡県立島田商業高校〜2007-2010 オリックス投手
2011〜球団職員


−−今年は結構、ベンチでの姿がテレビに映りますね

「5回までベンチでスコアつけたり、選手コメント取ったりしてます」


−−まずは静岡での学生時代のことを聞かせていただけますか?

「小学生のときから野球(軟式)をしていたんですが、そのとき(1998年)地元の島田商業高校が甲子園に何十年か(58年)ぶりに出場しました。それに憧れまして。家から近いこともあって、島田商に行こう!と決めたんです。実力はともかく、勘違い野郎だったので(笑)」


−−島田商業高校ではエースとして春の県大会(2006年)を制覇されています。高校時代からプロ志向だったんですか?

「入学したときからプロに行くつもりでしたし、野球やってたら行けるつもりでした。球は高校生にしては速かったし、なんせ、勘違い野郎なんで(笑) いい意味でも悪い意味でも、勘違い野郎なんですよ(笑)」


−−いえいえ。仁藤さんは言葉遣いも礼儀もしっかりしてらっしゃいますが。

「それは、小学校時代の監督さんに厳しく親身に指導していただいたからですかね。本当、指導者に恵まれていました。高校時代の監督さんは厳しさもあったんですが、プールでのトレーニングなど、こちらがやりたいということは自由にやらせてくれましたし」


−−2006年の高校生ドラフトでオリックスに指名されます。予想はしていましたか?

「ソフトバンクやシアトル・マリナーズの方が見にきてくれたこともありましたし、新聞にも田中(現NYヤンキース)の外れ一位などと名前が出たりして(笑) どこかに指名はされるかな?とは思っていました。でも実際にオリックスに指名されて、やっぱりうれしかったですね。ただ、ドラフト前の高校最後の試合でボコボコに打たれて、ボロ負けしてたんですが…(笑)」


−−ハンカチ世代なんですね。プロ入りして、いかがでしたか?

「1年目は肘のトミー・ジョン手術とリハビリで、登板なしです。2年目に当時の二軍投手コーチの酒井さんのアドバイスでスリークォーターからサイドスローに転向しました。3年目のキャンプの紅白戦で投げたときに臨時コーチの野茂さんに「面白い」と言っていただいて、開幕一軍に残れたんです」


−−野茂さんからは具体的に何かアドバイスを?

「サイドでもフォークは投げれるよ、と投げ方を教えていただきました」





−−その年の西武戦(2009年4月7日 西武ドーム)で現役時代で唯一の一軍登板を果たします。思い出していただいてよろしいですか?

「リリーフで1イニング登板して、いきなり栗山さんでしたがライトフライ。続く中島さん(現オリックス)はショートゴロに打ち取りましたが、そこから中村さん、清水さん、GG佐藤さんに3連続ツーベースを打たれてしまって、2点取られました」


−−今でも思い出したりしますか?

「もう、さすがに(笑) 実は開幕前に過敏性腸症候群という病気になってしまいまして。その日も試合中に何度もトイレに駆け込むような状況だったんです。でも、マウンドでは集中できていましたね。意図的には投げれたんですが、体重が落ちてたので球速も落ちてましたし、ボールが1個分ずれてしまった…実力不足ですね」


−−それでまたファーム落ちしてしまいます。

「最終的には、体重が10キロも落ちて。身体の使い方がわからなくなってしまって、誰かの身体を自分が操縦しているような感覚でした。この病気はメンタルなものなんですが、球団もいろいろサポートしていただいて体重は戻ったんですが、もう投球のバランスが戻らなかったですね」


−−そして2010年に戦力外通告を受けます。どんな心境でしたか?

「終わったか…と。まだ22歳だったし、何も考えられなかったですね。
 最後の2年は動かない身体を操縦し続けて、もう後悔とかはなかったですが」


−−苦しいプロ生活でしたが…

「入団したときから、ずっと支えていただいたのが、高校の先輩の牧田さん(*)でした。オリックスに入ってよかったなあと思う一番のことは、牧田さんに出会えたこと。島田商業に入ってよかったなあと思うことは、牧田さんの後輩になれたことなんです」

*牧田 勝吾さん
1974生
静岡県立島田商業高校〜愛知学院大学〜日本通運
2002-2008 オリックス内野手
2009〜球団職員 
スカウトとして駿太、西野、吉田一、東明、山岡、黒木選手などを担当


−−球団職員の話は、戦力外通告と同時にあったんですか?


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南 郁夫 (野球観察者・ライター)
通りがかりの草野球から他人がやってるパワプロ画面まで。野球なら何でもじっと見てしまう、ベースボール遊民。あくまで現場観戦主義。心の住所は「がらがらのグリーンスタジアム神戸の二階席」





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