南 郁夫の野球観察日記(15)
チームを支える人たち オリックスブルペン担当・別府さん

2016年10月5日(取材・文/南 郁夫)



おかげさまでご好評をいただいている「チームを支える人たち」シリーズ。「裏方さん」などという、ひと言ではくくれない、プロ意識にあふれた様々な役割の方々の野球人生を紹介できて、嬉しい限りだ。「やっぱ、野球っていいよなあ」という野球愛が、心に満ちてくる。
さて、前回が打撃投手とくれば、もちろんブルペン捕手を忘れるわけにはいかない。というわけで、今回オリックス球団にご紹介いただいたのは、阪急〜オリックス一筋ほぼ35年というまさにレジェンドの、ブルペン担当・別府さん。
いよいよシーズン終了も押し迫った試合前の京セラドーム大阪に、いざ潜入。


<支える人 その3>
オリックス・バファローズ ブルペン担当
別府 修作さん #90
1963年生 鹿屋商高〜82-89 阪急・オリックス
90〜オリックス・ブルペン捕手、バッテリーコーチ補佐などを歴任


ーー高校生の頃からキャッチャー・一筋でいらっしゃいますか?

高校に入ったときはサードだったんですが、途中からキャッチャーやれと言われて。それからずっとですね。 


ーーそして阪急・ブレーブスに入団されます。阪急時代の思い出と言いますと?

練習がきつかった(笑)。当時、練習のきつさは阪急か広島か?ていう時代でした。上田監督の方針ですね。神勝寺(広島県)での秋季キャンプのきつさといったらもう… 今の若い選手に言ったら笑うやろけど、朝早くから日が暮れるまで、小便の色が限りなく血に近い色になるまでの凄まじい練習でした。


ーー高校生がいきなりそんな世界に。どんなお気持ちでしたか?

練習もきついしね。一軍にはV3の戦士がまだゴロゴロいましたから、とんでもないところに入ったなあと(笑)。でも今の基準から考えても当時の阪急の練習方法は、高度でしたよ。連携プレーとかね。そういうチームカラーでしたね。


ーー引退後はすぐブルペン捕手に?

現役最後の8年目(89年)はもう一軍のブルペン捕手でしたね。それからずっとです。


ーーブルペン捕手のオファーがあったときはどんなお気持ちでしたか?

嬉しかったです。この仕事を続けれるなあと。ずっと野球に携われて、本当に幸福ですよ。


ーー現在の肩書きはブルペン担当ということですが、具体的にはどのような役割でしょうか?

先発陣も受けるんですけど、中継ぎ・抑え陣の投手のボールを受けて、修正して、ということですね。


ーーそれぞれの投手の調子を見極めるわけですか?

投球以前の、キャッチボールでわかるんですけどね(笑) 良さそうだとか おかしいなとか。投手ごとに、投げるタイミングや上げた足が割って前に出てくるまでのタイミング、手の出方や体の出方がありますので。


ーー全投手のそれを把握しているわけですね。おかしいときは、本人や投手コーチに言いますか?

聞かれれば言いますが、投手コーチの見方もありますのでね。


ーーブルペンでダメならマウンドでもダメなものですか?

マウンド行って良くなることもあるし、逆もありますよ(笑)。精神面もありますから。一概にブルペンで悪いから悪いとも言えない。


ーー試合のある日の別府さんの1日を教えていただけますか?

朝起きたら、体を少し鍛えて、球場に着いたら、まずビデオ室で各投手の試合映像を見て修正箇所をチェックします。ナイターの日は、2時くらいから投手陣のウォームアップが始まりますから、まずは上がりの先発投手の投球を受けますね。それから試合が終わるまで、ずっとブルペンです。


ーー1日中しゃがんでボールを受けるのって大変じゃないですか?
 
よく言われるんですけど。投手が肩を作るときって20球も投げないので。それを数人受けても、皆さんが思ってるほどではないんですよ。立ったり座ったりしてますから、特に大変じゃないです。ずっと立ってるほうがしんどいです(笑)


ーーブルペン捕手になる資質ってなんだと思われますか?

やはりキャッチング技術でしょう。ボールをビシッと止めるってことですね。投手は自分の投球の軌道を見たいんです。捕手が受けた時にミットが流れたり、ミットをかぶせたりしたら、軌道がわからないでしょ? いつも言ってるんですけど、「投手をがっかりさせるな」と。投手をがっかりさせないことが、我々の仕事です。


ーー自信をつけさせるためにわざとミットを大きく鳴らしてるって、本当ですか?

ありますね。鳴らすコツは捕るタイミングなんですけどね。実はいい投手の方が、いい音が鳴るんです(笑) 昔で言えば佐藤義投手とか、星野投手とかね。投手のコントロールとタイミングがいいと、捕りやすいし、いい音が鳴るんですよ。




ーーブルペン近くで見てるとすごいミットの音がしますが、痛くはないんですか? 怪我をされたりは?

痛くはないです。そりゃワンバウンドとか怖いですけど。小さい怪我はしますけど、痛くても黙ってます。仕事だから。投手に不安を与えたらいけないしね。


ーーブルペンの雰囲気ってベンチから少し離れて独特ですよね。神戸ではそれがよく見えて楽しいんですが。

もちろん試合展開を喜んだり悔しがったり、ベンチから離れていても一体感を持ってやっていますよ。でもまあ、ざっくばらんな雰囲気かもしれません(笑) マウンドに出て行くときはどうせ緊張しますからね。それまではリラックスしないとね。


ーークローザーの平野さんは今年も大活躍でした。

一番しんどいとこですもんね。一年中、調子がいいわけではない中でね。若い選手に言うんです。抑えても、(たまに)打たれても、平野はおんなじ顔してるやろ?と。打たれたら一番自分が悔しいはずやけど、おんなじ顔やろ、と。ちょっと打たれたくらいで顔に出すな、マウンドにいる間は堂々としておけと言ってます。


ーー失敗を引きずる選手もいますか?

次の日に修正したらええだけの話やと思うんやけど、なかなかね。選手によって声かけたり、あえて何も言わなかったりです。自分で考えないとね。毎日投げて行く中で、メンタルを強くしていかないと。


ー今までの野球人生で一番嬉しかったことと言いますと?

それはもう、震災の年の優勝でしょう。あとはもう、中継ぎ・抑えがみんな0点に抑えて帰ってくるのが、一番嬉しいです。打たれたら一緒にがっかりします。


ーこれからもオリックスのブルペンをよろしくお願いします。


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