南 郁夫の野球観察日記(26)
平野のことが心配で!WBC強化試合を観に行ってきた、の巻

2017年3月8日(文/南 郁夫、写真/トモ)



野球飢餓状態マキシマムなこの時期に「オリックス」対「侍ジャパン」(口に出すのが恥ずかしいので、以降「日本」と表記)、さらにそれに先立って「西武」対「キューバ」のWBC強化試合ダブルヘッダーをやってくれるちうので、3月5日(日)いそいそと京セラドームに観に行ってきた。

以下は、2階内野自由席:2000円で大のオトナが10時間以上も(漫喫より安っ)ぼうっと野球を眺めていた、観察レポである。
んが。あくまでオリッ・ファンのパ・リーグ目線なので、ちょんまげで日の丸を振っている「侍ジャパン、万歳!安倍首相、万歳!」な愛国者の方への今大会展望みたいな参考には、ならないのである。

いきなりだが。WBCだから? 電光掲示板の選手名がローマ字表記なの、やめて。
DESPAIGNEとか、長体かかりすぎて見えない読めない。AOKIてスーツ屋さんとしか思えんし。英語アナウンスも、いるか?(特にオリックス対日本のとき)
ネイティブと思しき女性の発音が良すぎて、キューバのENTENZAが「ペンペン草」に聞こえたし。「指名打者」の英語の響き(デシグネイレロヒラー)には、萌えるけど。



さて。ドームはほぼ満員。オリッの一般公式戦より、満員。その半数以上を占める、私には理解不能な「侍ジャパン」ファンたち。そもそも野球の国際試合に懐疑的な私は、わりと意地悪な気持ちで彼らを観察してしまう。
んが。なーんだ、みんな単純に野球を楽しんでいるだけではないか。雰囲気は決して殺気立ってはいなかった。「世界一奪還!」と殺気立っているのは、協賛してるマスコミだけなのだ。

スタンドを眺めていると、巨人ファンは坂本、カープファンは鈴木や菊池を応援しているというスタンス。なるほど、オールスターみたいなもんか。WBC本戦が始まったらどんな雰囲気になるのか知らないが、少なくともこの日のスタンドで「神風」ハチマキ締めて日本刀を振り回しているような人はいなかった。いたら大変だ。



「応援してるチームの選手が選ばれて怪我でもされたらかなわん」というのが、まともなプロ野球ファンのWBCに対する正直な気持ちだろう。ち、違うのか?
「最下位特権」でオリッからは一人も選ばれないと信じていたので、私は気楽に構えていたのだ。小久保が西を選ぶわけないし(引退試合台無しノーヒッター事件)
んがしかし。数合わせ?で守護神の平野佳寿が選ばれてしまったではないか!おい。

「オリックス対日本」の3回、いきなりその平野がマウンドに上がったシーンが、私としてはこの日最大の「クライマックス」。「適当に、適当にやでえ!」というおばちゃんのような願いもむなしく、いつもどおり火の出るような気合で平野がチームメイトの安達、吉田といった中軸をねじ伏せたシーンは、思わず変なところから変な汗が出てしまう迫力であった。
平野、仕上げるの早すぎだって!

まあ。日本軍でも頑張ってはほしいけど…くれぐれも慣れないマウンドとボールで「怪我だけは」しないでね、きっと無事で帰ってきてね。と、「銃後の母」の気持ちになる。願わくは、秋吉に全部任せて自分は肩が痛いとか嘘言っ…(以下自粛)

で。オリッの戦況だけを見つめる立場としては、まだ3月に入ったばかりなので選手たちに完成度は望まないわけだが。日本軍の方は、そうはいかない。打線も投手陣もなんか高校野球のような「必死さ」が伝わる日本がオリッに5−3で最終回逆転勝ちするという、送別会?壮行会?にふさわしい展開となった、この日。

うん十年ぶり?で全国地上波放送されたオリックスは、立派にホスト役を果たした結果となった。よかった、よかった。


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南 郁夫 (野球観察者・ライター)
通りがかりの草野球から他人がやってるパワプロ画面まで。野球なら何でもじっと見てしまう、ベースボール遊民。あくまで現場観戦主義。心の住所は「がらがらのグリーンスタジアム神戸の二階席」


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