南 郁夫の野球観察日記(29)
「KANSAI CLASSIC 2017」近鉄VS南海、阪急ブレーブスを観に行ってきた

2017年5月10日(文/南 郁夫、写真/トモ)


オリックス・バファローズはゴールデンウィークに「KANSAI CLASSIC 2017」を実施。まずGW序盤のソフトバンク・ホークス戦では近鉄バファローズ(藤井寺時代)、GW終盤の日本ハム・ファイターズ戦では阪急ブレーブス(1980-1984年)の復刻ユニを着用し、場内演出も含めて京セラドームが80年代テイストで彩られた6試合がくり広げられた。



特に「近鉄VS南海」は両チームが復刻ユニで戦うナイス企画で(ホークスはドカベン香川が着て失笑を買った1980年モデル)、なんとも不思議な気持ちにさせられる光景を見せてくれた。当時の応援歌や松田聖子や田原俊彦のヒット曲がBGMということで、場内は80年代テイスト満点。もともと阪急ブレーブス・ファンだった私としては、ぼうっとしてたら「よそのチーム」の試合を眺めているような、妙な気分だったのである。



んが。場所はドーム球場。ユニは当時のものでも、球場の雰囲気はまるで違う。大阪スタヂアムの「恐怖のスタンド急傾斜」や藤井寺球場の「恐怖の野次」など思い出しながらも、目の前の現実は30うん年後の「今」なのだ。よくよく見れば、復刻ユニを着ている選手たちの顔は「ゆとりですがなにか?」で、屈託がない。「しばきまわすどわれー」「石鹸くらい置いとけくら(大阪球場の選手風呂には石鹸がなかった)」とか叫んでた、昭和のパ・リーグ野武士の「濃いぃ」面相ではないのだ。





そういえば、藤井寺「古墳」球場は当時私の住んでいた西宮からは遠かったのだが、近鉄のもう一つの本拠地「日生球場」はまだ大阪市内だったので、よく行ったものだ。球場内外の光景何もかもが「戦後感」満点だったこの球場は(ブルーウェーブ時代の福良さんがホームランを打ったくらいに)異様に狭く、近鉄ファンが敵のホームランには「詐欺じゃー」と叫んでいたのを思い出す。

当時を知らない若者ファンに、こういった復刻ユニがどう映ったのかはわからない。が、京セラのスタンドには嬉しそうに復刻ユニのレプリカを着込んでいるおじさんたちが目立ち、なんのヒネリもないこと(例:ここで一発頼むでえ)を大声で叫ぶ「オールドスタイル」で、勇ましく応援していた。GWということで親子連れも多く、子どもに当時の球団事情を教える微笑ましい光景もあった。「身売りって何?」と聞く子どもに「み、身売りてな、身売りてなあ…」と絶句するお父さんの沈黙に、歴史の重さを感じたが…。



その昔、関西(というか阪神間)には私鉄が所有するパ・リーグ球団が3つも存在し、本拠地球場もろともその全てが魔法のように消滅した。なんてことを若い野球ファンはよく知らないし、過去をうまく現在と結びつけて理解できないのである。親会社が変わるだけならまだしも、リーグ再編のくだりは、当時を知るファンにも説明が難しいし、説明時の精神的苦痛が大きい。ので、関西の小学校の必修科目には「パ・リーグ史」を加えていただきたい。



私にとって。そりゃいつもながら、阪急ブレーブスの復刻ユニは嬉しかった。GW中のチームの調子はそれまでの「快進撃」が一転、「あら〜」な状態だったのだが…。最後の最後に阪急ユニがめちゃ似合う駿太がサヨナラヒットをかっ飛ばして(その瞬間場内に流れたのがオフコース「さよなら」!…手が込んでる)阪急ユニでの3連敗だけは阻止して「KANSAI CLASSIC 2017」は大団円となったのである。

さて。今回も多数の復刻チームグッズが発売されて、まことにまことに球団の営業サイドは罪深いと言わざるをえない。私もレジのお姉さんが混乱するほどの「貢献」をさせていただいたが、毎回その復刻アイテムが秀逸で、「やめてー」と言いたくなる。マジ、やめて。



スタンドにはそれらを身につけたファンもたくさんいたが、おじさんが阪急ユニ着て阪急帽をかぶると、全員「今井雄太郎」に見えてしまうのは、私だけだろうか? ともかく、ユニの「ズボン・イン」だけはやめたほうがいいと思う。

始球式の山田久志さんも含めて(笑)な。




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南 郁夫 (野球観察者・ライター)
通りがかりの草野球から他人がやってるパワプロ画面まで。野球なら何でもじっと見てしまう、ベースボール遊民。あくまで現場観戦主義。心の住所は「がらがらのグリーンスタジアム神戸の二階席」





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