その日は勘が冴えていた専属カメラマンが「小田で決まる!」と言ったので「いやここはどう考えても送りバ……」と返そうとした次の瞬間、小田のバスターがロッテの前進守備を破り、夢のように右翼線を転がっていく!
その瞬間、京セラドームを埋めたオリックス・ファン全員が吹き飛ばされたようにジャンプして歓喜の雄叫びを上げるさまは、長い長いチームの低迷とコロナ禍のモヤモヤ(モヤどこいった?)を吹き飛ばす、制御不能なエネルギーの爆発。ついに。ついにオリックス・バファローズが日本シリーズに進出したのだ。まさかそんな日が来るなんて。(それでも「座ってください」とあきらめ顔で叫ぶ係員の律儀さ)
そして私は。25年の時空を超えて再び「その瞬間」を目撃した喜びに、打ち震えていた。前回は神戸の「左翼線」(イチローのサヨナラヒットね)だったな、と遠い目になりながら。
この日のことは、皆さん死ぬほどいろんな媒体でリピート再生しているだろうから、語るべくもない。しかし、最後のチャンスメイクがTー岡田、安達の連打だったというのは泣ける。5年ほど前のインタビュー時に「自分たち二人が!」と二人揃って決意を語っていたのを思い出したから。
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