南 郁夫の野球観察日記(66)
2019年開幕直前 今年のオリックスは何かが違う!?

2019年3月10日(文/南 郁夫、写真/トモ)



いよいよ、開幕間近っ。新戦力の話題が豊富でオープン戦序盤が好調というチーム状態もあって、相次ぐ主力選手流出で凍りついたオリックス・ファンの心も雪解け開始!である。メディアの前評判はよろしくない2019年オリッだが、長くファンをやっている人ほど「そういうときに限って…」を知っている。一般の感覚では今年のオリッの選手名鑑は「あらら〜」なのかもしれないが、個人的にそれが好ましい。なぜかワクワクしているのだ。



大物選手の指標である「年俸1億円超え」の日本人選手は、温和そうな増井#17とT-岡田#55のみ。そういういかにも風通しの良い選手構成が、まず好ましい。チームの顔が打者:吉田正#34(25歳)、投手:山岡#13(23歳)、キャプテンが2年目の福田#4(26歳)という、すこぶる付きのフレッシュさ。待ち望んでいた「思い切った若返り」が、意図的か偶然にか?今年は実現するのである。



そのチームを束ねるのが、同じようなチーム状況だった2010年ロッテを下克上で日本一に導いた西村新監督とあっては、期待は膨らむばかり。人の良さそうな笑顔の目立つこの監督のもとで、目先のプレッシャーなど感じずに、若い選手がのびのび明るく(失敗しながら)野球をやってくれれば、私はそれで好ましいのである。

で。今年のオリッは実際、どんな雰囲気なのかな? を確かめるべく、3月7日の本拠地でのオープン戦(vsヤクルト)を観察してみた。この時期の勝敗や調子はあてにならないとはいえ、結果的に「オリッはとっても元気だった!」これが好ましい。

この日の試合では、出てくる投手(東名#26、荒西#15、吉田#14など)はポンポン相手を打ち取っていくし、各打者は思い切りよく打って、積極的に次のベースを狙っているし。解き放たれたように(何から?)チームが躍動しているように、感じられたのである。(伏見の声しか聞こえなかった)昨年と比べて、今年のベンチは若い声で賑やかで元気だ。オープン戦とはいえ、きっちり結果が出ているし。



特に目立っていたのは、先発マスクを被った伏見トライ#23。昨年ブレイクしたしぶとい打力を披露し(3安打)、積極的な好走塁も披露。肝心のリードの方も、無失点。若月#37との兼ね合いが悩ましいが、この選手の魅力は、何と言ってもその「明るさ」である。彼がいるだけで、一気にグラウンドが華やかになる。このチームに必要な要素である。実に楽しそうにプレイする彼が躍動してこそチームは変わる、と私は思っている。









そして。実に実に楽しみなキャラが、登場してきた。入団発表会見時にもその大物ぶりが目を引いた、頓宮#44がいきなり存在感を見せつけているのだ。この日も代打で堂々の「腰で運んだ」タイムリー・ツーベース。そのいかつい面構えと楽天的なムードは、このチームにもっとも必要なものだったのではなかろうか。慣れないサード守備など課題はあろうが、若さゆえの豪快さは、チームに必須な要素である。レッツ・トン・グー!



キャプテン福田#4は臆することなくリーダーの雰囲気を出しているし、19歳の西浦#00がセンターのレギュラーを鮮烈に取る勢いだ。佐野#93のしなやかなプレイも気になる。定評のある投手陣は今年も全員好調そうだし、去年軒並み成績をじりっと上げた中堅たちも黙ってはいないだろう。ロメロ#9、マレーロ#12もいるんだし、何より新加入のメネセス#33は予想をはるかに上回る実力でうれしい悲鳴。





毎年開幕前に言っている気もするが、楽しみな要素ばかりの今年のオリックス・バファローズなのである。若い選手たちは少々失敗しようが「がっかり顔」を見せずに、笑顔でプレイしてほしい。そしてそういう雰囲気を首脳陣には作っていただきたい。ファンも「優勝、優勝」と**のひとつ覚えみたいに唱えるだけじゃなく、目の前のプレイに未来を感じよう。

それでも、ひょっとしたら?と思うよ、そりゃ。そこらはやはり、昨今実力を発揮しているとは言い難い、ベテランのT-岡田#55、安達#3、西野#5や小田#50あたりの頑張り次第ではなかろうか。彼らが本来のパフォーマンスを安定して出せば… チャンスは絶対にあるわけである。



ところで。相手のヤクルトにも、懐かしい顔(坂口、コンちゃん、大引)とともに、素ん晴らしい若い選手がいた。19歳の村上#55である。噂には聞いていたが(昨年の初打席初本塁打)、この選手の才能は誰が見てもスゴくて、とてもじゃないが高卒2年目とは思えないスイングである。未来じゃなくてすぐに四番だろう、ちうスケールだ。驚いてしまった。



とにかく最近の若い野球選手の潜在能力は、素晴らしい。明らかに、時代が変わっている。平成すら終わろうとしている今、ファンも首脳陣も「昭和のプロ野球」を懐かしんでいる場合ではない。若い才能をすくすくと大切に育てようではないか。新時代の野球が、始まろうとしているのだから。

*ところでスタンドの椅子に貼ってあるこれ、開幕までにはどうにかなるんでしょうか?







で、昨年、一昨年の開幕前はどうだった?

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南 郁夫 (野球観察者・ライター)
通りがかりの草野球から他人がやってるパワプロ画面まで。野球なら何でもじっと見てしまう、ベースボール遊民。あくまで現場観戦主義。心の住所は「がらがらのグリーンスタジアム神戸の二階席」





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