いよいよプロ野球、開幕。新しい選手名鑑を手に、ファンにとって希望に満ちた日々である。過去の記憶は都合よくデリート。妄想はむやみに膨らんでいく。選手名鑑の説明文どおりに各選手が活躍すれば、優勝するに決まっている! 今年こそは! そんなポジポジ気分の「お得な」性格のオリックス・ファンだけに送る、恒例の「楽観的」展望である。
がしかし。今年のオリックスの戦力は、なんだか例年と様相が違う。高額のFA選手や外国人選手をかき集めたわけではないのに「計算できる」コマが揃っているのだ。評論家の評価も上々で、本当の本当に? 期待してもいいようなのである。というと、オリックス・ファンの99%の心に「そんなときに限って…」と気弱なフレーズが浮かんでしまうのは、わかっている。わかってはいるが、その集合意識がチームに伝染するからやめよう。
今年の素晴らしい戦力を、素直に認めよう。その上、ここまでほぼ「故障者がいない」のである。フル戦力で開幕を迎えるのだ。んが。かつての監督・A-岡田氏は週刊誌でオリッを5位予想にして「オリックスう? 戦力は充実してると思うけど、きっとまたケガ人が出るんやろな」などと発言(週刊ポスト)。ケガ人は出ない! 今年は。してみれば、辛口の岡田氏が「充実」としているくらいだから、今年の戦力はすごいのである。うん。
■野手
ついにそのハイブリッドな潜在能力がベールを脱いだ。オープン戦での宗(むね)#6のブレークは、事件。彼の活躍で今年のオリッに「弾み」がついたと言っても過言ではないだろう。オープン戦取材時に目撃したランニングホームランの走力は、衝撃。ベンチ裏でも彼は絶え間なく甲高い声でしゃべりちょこまか動きっぱなしで、真面目で静か〜なチームに新鮮な「リズム感」を与えていた。センターの守備は必死で鍛えているそうだが、いざというときはスペシャリストの後藤駿太#8もいるので… その旨(むね)よろしく。
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