今でこそオリックスには山本由伸という絶対的エースがいますが、山本の前にエースといえたのは、金子千尋でしたよね。日ハムに行って下の名前(漢字)を変えてましたが、今年からまた戻すんだとか。ややこしーな。
それにしても、移籍してから彼が極端に低迷しているのは、申し訳ないような気になります。あれほどの投手が何故?とか言いながら、活躍してたらそれはそれで文句言いそうな、ファン心理。
2010年あたりからの金子は、調子がいいときは本当に手のつけられない投球をしていました。山本が「剛」とすれば、金子は「柔」のエース。タイプは違いますが、2人とも球場で見ていて本当に楽しい投手。今回はその金子の黎明期、ローテーションに定着した2008年の神戸開幕戦を見に行ったときのコラム。この年、パ・リーグは3月20日に開幕しとりますね。早っ。
「かにとねこの、あいのこ」
2008年3月28日@グリーンスタジアム神戸(スカイマークスタジアム)
内野の「前進守備」を見るのが、好きだ。
相手に1点もやれないゲーム展開の終盤。1アウト・ランナー三塁。マウンドの金子が「π(パイ)」のように見える独特のセットポジションに入るやいなや、それまで食べ残しのピザのような陣形でおおらかに守っていた内野手(カブレラ、後藤、大引、ラロッカ)が突然、円心に位置するキャッチャー日高めがけて忍者歩きで「つつつ」と前進する!
そして、「ぴたっ」と内野の芝生の上で引き締まった正方形を作ってみせたところで、投球がホームベースに到達。打者がバットを動かさなければ、また元の位置に「引き潮」のように戻っていく…。これを打者が打つまで延々繰り返す「前進守備」の厳格な儀式。
その幾何学的変化の性急さ、「本塁封殺」という攻撃的意思を持った内野手の切迫感のある表情が、こののんびりしたスポーツに突然「非常時」感を与え、あくびをかみ殺していた観客に「今夜はなんか、ええ試合やないか」という満足感を与えてくれるのだ。
この守備陣形の変化を俯瞰で楽しめるのはGS神戸(スカイマークスタジアム)の2階、「ヘブンズシート」しかないんだよね〜。そう。本日が私にとっての開幕日。GS神戸で今季初の公式戦が行われたのでありました。
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