南 郁夫の野球観察日記(62)
Bsファーム感謝まつり!
大阪シティ信金スタジアムに行ってきた

2018年10月7日(文/南 郁夫、写真/トモ)


ずっと気になっていたのだ。オリックス・ファーム施設のすぐ裏にある、えんらい立派な球場がっ! 去年まで「舞洲ベースボールスタジアム」、今年から「大阪シティ信用金庫スタジアム(シティ信金スタ)」と名前の変わったその球場で、いつもはお隣の専用球場で試合をしているオリックス・ファームが公式戦をするというので、出動してみた。


「Bsファーム感謝まつり!」と称された9月17日(祝)の中日ドラゴンズ戦。車で到着してみると、球場前に結構な人だかりである。向かいにあるファーム施設から選手たちが歩いて球場入りするのを、熱心な老若男女が待ち構えているのだ。ファンの裾野の広さ。お目当ての選手のユニフォームを着込んでいる人も多い。









ん?めっちゃ目立つ物体が目の前を通過した? と思ったら、髪のブリーチ度ハンパないベテランの小谷野選手withスマイル縞田選手であった。どひゃ。



球場前は小規模ながら出店もあって、なかなかの賑わいぶり。1000円也を払い、スロープ上がって球場内に入ると… おー。すっごい開放感やんか。何もかもが広々していて、とてーも気持ちが良いやんか。何より球場が清潔で、綺麗である。なんだか、いい眺め〜。スタンドには傾斜が付いていて、椅子の配置も余裕がある。



この「ひろっ」とした感じは、こじんまりしたスタンドに押し込められたファーム球場では味わえない。そして、傾斜があるせいで、プレイがとても見やすい。内野の連係なんかもばっちり確認できる。鳴り物のないファーム試合では、選手どうしの掛け声もしっかり聞こえて、臨場感満点なのである。



熱心なファンが前のめりになっているネット裏ではなく、一塁側か三塁側後方の「背もたれ席」での名鑑片手の「のんびり観戦」が、個人的にはヘブンズシート。いろんな人が思い思いに観戦できるのが、広い球場の良いところ。一般のファーム球場のように硬いプラスチックの長椅子でなく、背もたれ付きで試合が観れるとは、本当にありがたい。

この球場は、大阪オリンピック(未遂)スタジアムということで、両翼は100mの国際試合規格。外野は美しい天然芝で、10000人収容である。照明は横浜みたいな逆トライアングル。特に目を引くのは、球場全体をまたぐように設置されている巨大な鉄製の黄色アーチだ。外から見ても中から見ても遠くから見ても、このアーチが強烈なアクセントになっており、非常に優れたシンボルデザインだと思う。バックネットはこのアーチに吊るされているという機能性がお見事!


外野スタンドは芝生席で、この日は企画でバーベキュー観戦の人がいて「新しいな」と思った。外野手はさぞいい匂いがしたことだろう。その外野席になぜかファームで頑張るマレーロのホームランが飛び込む光景は、まさにボールパーク!であった。

思いのほか人気があるファーム試合と言っても、10000人キャパ。スタンドの人口密度は低い。場所さえ選べば、手足伸ばしての観戦が可能。のんびりオリックスの新しい力や(上下移動の激しい)エレベーター選手の動向、見慣れない中日ドラゴンズのファームを観察するのは、非常に楽しいひとときであった。



もっともっとこの球場でファーム試合をやってくれればいいのになあ、とマジ思う。駐車場も完備だし、気楽に来れるいい場所ではないか。

欠点らしきものを少しだけあげるとすれば、場内スピーカーの音声やBGMが「割れて」うるさいこと。おそらく機器の不具合であろうから、直していただきたい。というか、別にファーム試合で音楽とか、演出いらないので。あと、その日は用はなかったが、男子トイレの個室が「和式」であったことにびっくり。女子は? こ、これって国際試合仕様っすか?

相手の中日ドラゴンズはファンも含めて、ほんと、中部地方らしいコンサバな雰囲気がなんだか懐かしい。小笠原監督は甲斐とか美濃の武将のようだし。チームカラー、ぶれないわ〜中日。で、珍しい外国人のキャッチャーがいた(キューバ出身の育成選手・マルティネスらしい)。





とにかく。できるだけいろいろな球場に行ってみたい!と思うのが野球観察者ですよね。野球の記憶は、野球場の風情も含めてのものである故。大阪シティ信用金庫スタジアムの第一印象は、最高に素晴らしいものであった。

正確な球場名は絶対に覚えられそうにないが。


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専属カメラマン・トモによるオリックス・ファーム写真集!








<過去コラム一挙掲載!>

オリックス、元メジャーリーガー、女子野球…ベースボール遊民・南郁夫の野球コラム集。





南 郁夫 (野球観察者・ライター)
通りがかりの草野球から他人がやってるパワプロ画面まで。野球なら何でもじっと見てしまう、ベースボール遊民。あくまで現場観戦主義。心の住所は「がらがらのグリーンスタジアム神戸の二階席」





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