白状しよう。その瞬間、私はカープの鈴木誠也に2試合連続サヨナラホームランを「打ってほしいかも」と思っていた。「打つぞ、これは」とも。オリックス(以下オリッ)ファンの私が、である。6月18日(土)@マツダスタジアム、交流戦の9回裏。そのとき私は、野球の神様が前日に続いてまた舞い降りていることを、肌で感じていた。「それ」がわかるくらいの観戦経験は、あるのだ。
その、前日。
オリッを追っかけて広島に来ていた私は、前日の17日(金)延長12回に飛び出した、鈴木「せいや!」のサヨナラホームランの瞬間を、目撃していた。そのときの私は、サヨナラ負けを嘆き悲しむどころか、夜空に両こぶしを突き上げて喜びを爆発させる赤白のカープ選手とファン、そしてその美しい舞台であるマツダスタジアムの、それはそれは素晴らしい光景に、はからずも感動してしまったのだ。旅の感傷か? いや。カープは野球の神様の愛に包まれていたのだ。
そして、その瞬間。
次の日の18日(土)の試合は、明らかにオリッの流れだった。がしかしっ。9回裏2点ビハインドのカープに、神様は着々と2本のヒットをお与えになり、またも「あの」鈴木誠也を打席に送り込んだのである。一打逆転サヨナラ、お釣りなしの状況。まさか二日連続で同じ選手が? そう。彼は選ばれたのである。
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