南 郁夫の野球観察日記(43)
オリックス 背番号の変遷「1」〜「9」

2018年1月9日(文/南 郁夫)


山崎福也投手の背番号「0」変更で、自分勝手に盛り上がった、野球観察者の背番号フェチ魂。その勢いは年を越してしまい…
オフ企画「オリックス背番号の変遷」がスタート! …しーん。え? きょ、興味ない? でもやる。
ご存知のように永久欠番が「ない」ことで有名なオリックス。背番号をたどることは、このチームがそもそも背番号をどのように扱ってきたか、あるいは扱ってこなかったか!が検証できると思う。まあオフだし。過去選手を思い出すのも、一興かと。
それぞれの番号をつけた選手の変遷と、その傾向。そして私見で代表選手を選出してみたい。
(「0」「00」は前のコラムで振り返ったので割愛。基本的に阪急時代は除くが、オリックスとまたがった選手は記載)

まずは「チームの顔」である「べき」1桁台から〜。

「1」
福良淳一[内](88〜97)、藤本博史[内](98)、加藤伸一[投](99〜01)、戎信行[投](02)、副島孔太[外](02〜03)、後藤光尊[内](04〜06)、コリンズ[監](07-08)、後藤光尊[内](09〜13)、ベタンコート[内](14)、中島宏之[内](15〜)

昔からプロ野球ではチームを代表するスラッガー、あるいは(まれに)エースに与えられてきたはずの「1」。オリックスではそのあたりの一貫性が… 見事にない。移籍してきた選手に簡単に与えちゃうし、背番号1のありがたみが希薄。後藤に至ってはコリンズ監督に背番号貸して、また返してもらうという… そんな扱いでよいのか!背番号1。「1年だけのエビス様」で有名な戎はしかし活躍時は背番号「65」で、「1」になった途端にヤクルト・副島とシーズン中トレード。その副島がそのまま「1」を引き継ぐという、節操のなさである。オリックスにおける背番号1の代表選手は、いまんとこ福良さん(選手時代)くらいか。イメージを塗り替える選手が出てきてくれてもよい。


「2」
山越吉洋[内](88〜94)、馬場敏史[内](95〜97)、三輪隆[捕](99〜04)、的山哲也[捕](05〜07)、木元邦之[内](08〜09)、山ア浩司[内](10〜12)、原拓也[内](13〜16)


内野手か、捕手というイメージの「2」。オリックスでもそのイメージ通りの人選とはなっている。がしかし、なんとも華やかさのないシブいラインアップである。こちらも移籍組に簡単に与えちゃってる。木元、山ア、原には「曲者」というイメージを感じるも、あくまで端役というか。最盛期のブルーウェーブを支えた馬場を捨てがたいと思いつつも、オリックスにおける背番号2の代表選手は、選手としてはオリックス一筋の、三輪としたい。よく頑張っていただいたし、人格者である。現在は欠番なのが寂しい、この番号。誰か捕手が付けてくれないかな?(防具で背番号が隠れるから近年、捕手の「2」は敬遠されているというのは本当?)


「3」
石嶺和彦[外](88〜93)、ドネルス(C・D)[内](97〜99)、葛城育郎[外](00〜03)、村松有人[外](04〜08)、フェルナンデス[内](09)、(嶋村)一輝[内](10)、李承Y [内](11)、安達了一[内](12〜)



背番号3といえばあーた、チームの要の「強打者」でしょう。阪急ブレーブス・ファンからすると、もちろん「長池」。そういう目で見ると、安達は最初から異色の「3」。定着してみれば、攻守巧打で背番号3の遊撃手も悪くないし、十分認知されたところなので、ぜひ本格復帰をして新たな歴史を作ってほしい。イチローが去った後で期待が高かった「イクロー」葛城は、結局活躍したのは01年のみ。嶋村一輝はレギュラーを取りきれないまま「3」に変更した翌年に横浜にトレードでパッとしない。移籍組ながらオリックス時代も名選手ぶりを見せつけた村松は捨てがたいが、代表選手はやはり安達ということにしておこう。


「4」
ブラウン[外](89)、松山秀明[内](90〜98)、今村文昭[内](99〜00)、福留宏紀[内](01〜04)、阿部真宏[内](05〜09)、赤田将吾[外](11)、スケールズ[内](12)、ロッティーノ[外](13)、ヘルマン[内](14-15)、モレル[内](16-17)、福田周平[内](18)

昔は縁起が悪いので日本人はつけたがらなかった「4」。が、今の選手はそうでもなさそう。とはいえ最近のオリックスは安易に外国人選手に与えてきた印象だが、ルーキー福田くんが果敢にも今年からこの番号を選ぶことに。松山、阿部のような渋い内野手になってほしい。変わり種は今村で、内野手でドラ1入団して2年「4」をつけた後、投手に転向(背番号は39に)。「4」の代表選手だが、異論はあろうが福留ということにしたい。主にサーパスの印象だが(!)、彼の「あらよっ」という二塁守備が大好きだったのだ。その福留、今年から女子プロ野球・埼玉アストライアのヘッドコーチに就任とな!(背番号は51)







「5」
弓岡敬二郎[内](82〜91)、トーべ[内](92〜93)、熊野輝光[外](94)、勝呂嘉統[内](95-96)、プリアム[外](98-99)、アリアス[内](00-01)、山ア武司[内](03-04)、清原和博[内](06-08)、バイナム[内](10)、ヘスマン[内](11)、平野恵一(13-15)、西野真弘[内](17〜)



どうしても強打の内野手で右打者というイメージが強い「5」。オリックスでもほぼ?そんな流れになっているが、清原(オリックスでは強打者ではなかった)を最後に強打者イメージはなくなってしまっている。西野は平野恵に憧れて「5」に変更したらしいが、それなら出戻り前の「9」の方がよかったのでわ、と思う。2000年代ブルーウェーブ・ファンとしては、「5」といえばアリアス、山ア武司の「チャンスでドッカーン」イメージである。この番号は、一発を打ってくれそうな「広くていかつい背中」にこそ、ふさわしい。オリックスでの2年間のアリアスは輝いていた。逆転サヨナラホームランも目撃した。阪神への放出には怒りを覚えた。代表選手はジョージ・アリアスとしたい。


「6」
熊野輝光[外](85〜91)、田口壮[外](92〜01)、塩谷和彦[内](03〜05)、デイビー[投](06〜08)、大村直之[外](09〜10)、金子圭輔[内](11)、橋信二(12〜14)、宗佑磨[内](15〜)



いまだに、文句なしにオリックスの「6」といえば、田口壮なのである。それしかない。もう17年も経つのに、である。田口を引き継いだ塩谷は「ちょっとあれ」な人だったし、大村もなんというか…。やはり「6」の代表選手は永遠に田口のイメージでおいておきたい。などというと、現在の宗くんに失礼か。彼の潜在能力がブレイクすれば、それはかなりのインパクトで「6」のイメージも変わるだろう。それにしても、デイビーの「投手の6」は珍しい。なぜ選んだのか? 違和感ありまくりだ。「リプシーに入ってでもチームに残りたい」との名言を発したくらいオリックス(のゆるさ)を気に入っていたデイビー。グラウンドでは荒れるし、私好みの変わり者だった。


「7」
福本豊(72〜91)、進藤達哉[内](01〜03)、日高剛[捕](04)、水口栄二[内](05〜07)、濱中治[外](08〜10)、赤田将吾(12)、糸井嘉男[外](13〜16)



「7」は「ふくもっさん」に敬意を払って永久欠番になるべき番号。それをしないところにこのチームの傾向を感じるのは私だけか。それにしては阪急ユニを復刻したりしてレジェンドを強調しているのは、一体何なのか? まんまとグッズを買っている私は、何なのか。その福本がコーチになってからも、最後までつけた後、10年を経て解禁されてしまった「7」。その後の「7」はまあ、それなりの選手たちだったのではあるが、このチームで3度も背番号を変えている日高が1年だけ「7」をつけたのだけは、謎だ。近年「7」は糸井の番号として定着した感があったが、オリックス発足時にもこの番号を背負って在籍していることから。やはり代表選手は「ふくもっさん」。


「8」
松永浩美[内](83〜92)、藤井康雄[外・内](93〜02)、オーティズ[内](03〜04)、サイモン[内](05)、中村紀洋[内](06)、ローズ[外](07-09)、後藤駿太[外](11〜)



オリックスの「8」といえば、「ヤスオさん」しかいないのである。そのファンにも愛されたリーダーシップ、「あくまで引っ張る」ホームラン美学、雨中の代打サヨナラ満塁ホームラン(お釣りなし)、美しい引退セレモニー… その全てが私の網膜に焼き付いている。が、チームは藤井が引退した翌年、「誰なん?」というオーティズにあっさり「8」を「ほい」とくれてやってしまったのだ。そのオーティズは開幕直後から壊滅的なエラーをくり返し、石毛監督の4月退任をサポートしてしまう。永久欠番とは言わないが、チームはもっと「8」を大切に扱って欲しかった。そういう意味で現在の駿太(改め後藤)は、ホームランバッターでこそないが、新しい「8」イメージを作り得る生え抜き選手である。「我慢して」使っていただきたい。


「9」
本西厚博[外](87〜92)、キャブレラ[内](94)、嘉勢敏弘[外](95〜00)、五十嵐章人[内](01)、平野恵一[内](02-07)、坂口智隆[外](10-15)、ロメロ[外](17〜)



「9」ってわりと傾向がはっきりせん番号だが、近年の野球では強打者がつけている印象もある(柳田や丸・・)。しかしオリックスにおいては「極めて個性的」な選手がつけてきた番号と言うしかない。よく覚えていないキャブレラ以外、キャラの濃い選手ばかりのラインアップである。名選手である本西は「0」に変更してからの活躍なのでそちらの代表選手としておくが、迷ってしまうのが平野恵一と坂口。どちらもオリックスの顔(なのにトレード!)としてファンの心に住みついている人気選手だけに、両方を代表に挙げたいところだが、あの決死(フェンス水平直撃)のプレイスタイルに敬意を表して、平野恵一を代表選手としたい。ファンの中にいまだにその「9」ユニを着ている人をけっこう見かける坂口が外野席をジロジロ見る仕草も、捨てがたいのであるが…。


というわけで、オリックス背番号の変遷「一桁台」、いかがだったろうか? 一桁の番号といえば、やはり生え抜きのレギュラー選手につけて欲しいのがファン心理だが、「ぜんぜん、そんなことないすっ」というのが、オリックスにおける傾向であった。それにしても、現在欠番の「7」くらいは今後もチームとして大事に扱ってほしいなというのは、贅沢なお願いなのだろうか。んなこと言ってたら、来年あたり、あっさりと2Aクラスの新入団外国人選手に与えちゃったりして…








<過去コラム一挙掲載!>

オリックス、元メジャーリーガー、女子野球…ベースボール遊民・南郁夫の野球コラム集。





南 郁夫 (野球観察者・ライター)
通りがかりの草野球から他人がやってるパワプロ画面まで。野球なら何でもじっと見てしまう、ベースボール遊民。あくまで現場観戦主義。心の住所は「がらがらのグリーンスタジアム神戸の二階席」





Copylight(C)K!SPO All Rights Reserved.